第31話 リング
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「…俺が、特別に仕込んでやろうか?栄子よ。」
耳元で囁く躯に、何をだろう…と理解できず、見上げたそこに映るのは妖艶な色を乗せた彼女の瞳。
「…え、な、何?」
(これは…!!)
ズイッと身を乗り出す彼女に、思わず後ずさる栄子。
「今夜から俺が手取り足取り教えてやるって言ってるんだ。…どうだ?」
(は、始まった!?)
どこで一体彼女のスイッチが入ったのか…
出遅れた自分に躯の攻撃は続く。
「い、いやいや、試合前だし…い、忙しいだろうし…」
「おまえの為に時間を空けるって言ってやってるんだよ。」
「躯さん!!いいかげんに-…」
「なんだ?栄子…。」
頬に触れる彼女の冷たく細い指に甘い声、そして妖しく光る瞳に体が固まる。
その瞬間-…
後ろから腕を引かれ体が宙に浮く。
軽やかに地に足が着くと同時に逆立つ黒髪が目に入る。
「……飛影?」
気付けば彼の後ろに立つ自分、そして彼の肩越しに見えるのは躯のおもしろそうな顔…
「そう怒るな。…まぁ、半分本気だが。」
「……。」
再び自分の腕を掴むと彼は足早に扉に向かう。
「えっ…ちょっと、飛影?」
腕を引かれる形になりつつ、躯に視線を向ける栄子だったが、自分達の様子を見て目を細め口角を上げる彼女に意味が分からなかった。
出た廊下の先でやっと止まった彼に掴んだ腕を放すように言うものの反応がない。
どうしたのか…
隣に行き顔を覗き込もうとするが…
その瞬間掴まれた腕を引く彼に驚き見上げる。
「ひ…えい?」
至近距離の彼の瞳に体が思わず固まる。
揺れる赤く鋭い瞳。
それが少し伏せ自分の唇に落ちた視線だと気付くのに数秒掛かった。
「…どうか、した?」
様子が変だ。
動かない彼に掴まれていない方の手で彼に触れようとした…
「無防備すぎる…」
彼は視線を落としたままそう呟く。
「え…?」
触れようとした手が止まる。
そして、掴んでいた腕も離すと彼は背を向ける。
「??」
「躯は女もいけるから、気をつけろ。」
「え…、えぇ!!!!」
その言葉に思わず目を見開き叫ぶ。
「メイドも気をつけろ。」
「え、えぇぇええ!!!!」
驚愕の一言、いや二言。
飛影の行動に違和感を感じるものの、最後に聞いたその言葉たちが脳裏を占める。
(う…嘘だ…)