第3話 現の夢
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「……私がいるだけでは、まださみしいか?」
栄子は狐をいつものように膝の上で撫でながら、隣に座る秀忠の言葉に頭を傾げた。
二人と一匹は月が顔を出すのを待っていた。
「俺はおまえを嫁にしたいんだ。」
真剣な眼差しで栄子を見つめる秀忠。
この世界に来てから、一年が経っていた。
「父上が反対するなら、俺はここを出て行く。」
『あいつは妖だ、噂を知らないのか…』
秀忠の父親は栄子の事を良く思っていなかった。
思いも寄らぬ秀忠の言葉に焦る栄子。
秀忠は侍女達の目など気にせず栄子の頬に唇を寄せた。
それから3ヶ月の月日が流れたある日の朝。
烏の鳴き声が煩く、嫌な胸騒ぎがしていた。
側にある森の奥で見つかった秀忠は…
すでに冷たくなり死んでいた。
妖を匿ったから災いが来たのだと、京で新たな噂が広まる。
秀忠の父親は京から離れたある山の古い屋敷に栄子を隔離した。
それは秀忠の気持ちを汲んだ父親のせめてもの情けであった。
世話かがりを二、三名つけての軟禁。
栄子は秀忠が亡くなった日から抜け殻の様になっていた。