第30話 彼の名前
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躯に呼ばれた先は応接室。
扉を開けた先に一番に目に入ったのはソファに座りこちらを見る幽助の驚いた顔。
「おぉ、栄子!来てたんか!!」
「幽助君…おひさって、わぁっ…!」
側まで来るといつものように頭をがしがしと撫でながら笑う彼。
そして、文句を言いながらもぐちゃぐちゃになった髪の毛を手で整えながら、彼の奥に見える初めての顔ぶれに気付き思わず固まる。
「栄子、こっちへこい。」
躯がソファに腰掛けたまま手招きをする。
中央には大きな大理石のテーブルが置かれそれを囲うようにして座る彼ら。頭に一角の角を持つ黒髪の少年とまたも頭に幾重か角がある目を瞑った長い黒髪の男性。
少し離れた窓際に飛影はもたれ、幽助は再びソファに腰掛に行く。
そして…
ベランダの柵にもたれ、風になびく赤い髪。
翡翠の瞳をこちらに向けいつものように微笑む彼。
それに思わず目を逸らしてしまう栄子。
(まともに見れない…)
側まで行くと、とりあえず自己紹介をさせられ、初めて見る彼らも挨拶をしてくれた。
黄泉と修羅。
彼らは親子で、今回の大会に出場する。
今回の大会は躯の土地で開催されるらしく、参加者の一部はこのように躯が客として城に招いているらしい。
「にしても…躯が人間を気に入るとはな…。」
黄泉が口元に指を当て意外そうに言う。
「取るなよ。こいつがいると暇しないんだ。」
「ほう…そんなにか、興味深いな。」
「父さん、でもこの人全然普通だよ。特別美人でもないし、スタイルいいわけでもないし…。」
修羅は首を傾げながら躯に趣味悪いんじゃないの?と笑う。
「……。」
(…かわいい顔してなんて悪魔っ子だ…)
がっくりと肩を落とす栄子の姿に、飛影は俯きながら小さく肩を揺らす。
(笑ってる…あれ、絶対笑ってる。)
そのまま視線がベランダにいけば、そこでも口元に手を当てた秀一の姿が目に入る。
ポーカーフェイスを装ってはいるが、あの手の中ではきっと口が孤を描いている。
「笑い事じゃないやい…。」
ぽそりと唇を尖らせながら躯を見ると、そこには哀れそうに自分を見つめる瞳。
(帰って、いいですか?)