第29話 集う者
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
草木が舞い、木が横に真っ二つに切られ倒れる。
同時に大きな岩が空中に投げられると幾重にも線が入りそれは粉々になり風に散り行く。
パラパラと岩の欠片が舞う中、地に足を付け息を付く飛影の姿。
剣を鞘に戻すと、後ろの気配に赤い瞳だけを向ける。
「やけに優しい剣の使い方だな、飛影。そんなに穏やかな妖気で次の大会は勝てんのか?」
明るい口調に久しく聞くその声に飛影はゆっくりと振り返る。
「…幽助。」
赤い瞳を向けた先に映るのは、にししと笑う幽助の姿。
「おっす、俺も今夜から躯ん所で世話になっからな。よろしく。」
荷物を地面に置き、さっそくとばかりに腕を回し始める彼に、飛影は目を細める。
「そんな穏やかな剣で一人、調子出ねぇだろ?」
「…怪我するとうるさいのがいるからな。」
「怪我?それは俺に怪我させられるの前提で言ってんのか?」
足を伸ばしながら舌を出す彼に飛影の眉がぴくりと動く。
「…ふん、ないな。」
鞘を投げ、剣を構える飛影。
「そうこなくっちゃ!!」
嬉しそうに笑う幽助。
飛影と幽助が戦うそれより数千キロ離れた先。
「ねぇ、父さん。あれって…」
黒髪の少年は構えをとき、遠くからでも分かる程の天を貫く大きな二つの妖気を見る。
まだ16、17程の少年の瞳が爛々と輝く。
「ふふ、なつかしい妖気だな。以前より粗も少なく落ち着いたものだな。」
少年の前では、以前と変わらず落ち着きを払った彼の品の良い口角が嬉しそうに上がる。
「そうだね。…父さん、早く躯の所いこうよ。あっちにいけば皆集まってるんだろ?」
「…修羅よ。おまえが、少しでも戦闘力を上げてからと言い出したんだぞ?…気分でよく変わる奴だ…。」
「そうだっけ?でもあんな妖気見せられちゃ、早く行って戦いたいな。」
頭の後ろで腕を組み、楽しそうに笑う。
「…あんなに妖気を出してたら試合まで体力が持たないぞ?」
「なんとかなるよ。あいつらはそんな事気にせず戦ってる。…保険をかけない、いいじゃん?」
「おまえは…」
苦笑しつつも、やれやれと息を付く黄泉に修羅はそのまま視線をさらに奥、躯の城の方角に向け瞳を細める。
「…それにさ-…」
遠くを見つめたまま上がる口角。
「今回はなんか色々と面白そうな事、ありそうな予感がする…俺の勘だけど。」
「…おまえの勘はあまり良いことではない…。」
「あっ…ひどい…」
黄泉は静かに笑った。