第28話 鈍い心
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「つ…疲れたぁ~!!」
自室に入るなりベットへダイビング。
部屋の掃除をしてくれているメイドに気にも止めず仰向けに大の字になる。
「幸せだぁ…」
このふかふかベットの感触。手足を伸ばしてもはみ出る事のない広さ。
「お疲れ様です。栄子様。」
そんな彼女の姿を見て面白そうにくすくすと笑うメイド。
「本当、疲れたよぅ~…躯さん容赦ないんだもの。」
飛影の治療の後、奇琳に呼び出されたと思いきや躯の部屋の復旧作業を手伝わされた栄子。
自分が壊したわけでもないのにこの仕打だ。しかも壊したのは躯と飛影だと聞くじゃないか…
壊した張本人たちがするべきではないだろうか。
それを力説するも虚しく躯は自分の心に聞いてみろと言っていた。
…読んだのがばれたのだろうか。
困ったものだ。
「でしたら、今日のお食事はお部屋でとられますか?今夜は躯様は私用でいませんから。」
「うん、そうする。」
枕に顔をうずくめる。
このまま寝てしまいそうになるものの、食事をしないで寝るわけにはいかない。
この世界の唯一の楽しみは食事なのだ。
始めはどんな料理が出るのかと不安もあったが、出てきたのは普段なら絶対食べれない様なご馳走だった。
どこぞのセレブが通う豪華な三ツ星レストラン並みの味に(行ったことがないけどきっとそんな感じ)コース料理が主だ。
特に夕食。
毎回頬が落ちてしまいそうなそれ。
躯が一緒だとテーブルマナーをよく注意されるのだが、今日はそのような事もなく悠々と味わえそうだ。
「でしたら、せっかくですわ。飛影様達をお呼びになったらいかがですか?一人での夕食はさみしいでしょうから。」
「そうね…。あっねぇ、あなたはどうかしら?」
「どう、とは?」
メイドは首を傾げる。
「いつも部屋綺麗にしてくれて、色々してくれていつも助かってるの。私の食事に付き合せてどうってわけでもないけれど、お話できたらなって…だめ?」
目を見開くメイド。
そんなに驚くことだろうか…
「だめ、かな?」
命令なわけでもそんな立場でもない為、気楽に受け取ってほしいのだが、やはり気を遣うのだろうか。
少し不安に思うものの、次の瞬間メイドの彼女は頬を赤らめ満面の笑みで「はい!!」と言ってくれた。
「なら、テラスで食べない?ちょっと雰囲気出してランプとか置いてワイン飲んで。」
住まわせてもらっているにも関わらずまるで自分の家のように過ごさせてもらっている為そんな事もおかまいなしだ。
「素敵ですわ、栄子様。」
「…あ、今更でごめんなんだけど、名前って-…」
「驥尾(きび)でございます、栄子様。」
気にする素振りもなくにっこりと微笑む驥尾。
「なら、さっそく用意しましょう?驥尾ちゃん。」
「はい、栄子様!」
名前を呼ぶと嬉しそうに瞳を輝かせた。