第2話 痛みと優しさ
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「栄子…。」
後ろから声をかけられ、栄子の肩がビクッと震える。
「…大丈夫か?」
栄子は振り向く。
そこには秀一が腕を組んで壁にもたれていた。
「秀ちゃん…」
「そんな顔して…この前よりひどいな。」
秀一は苦笑しながらも、おいで、と両手を広げる。
栄子は首を左右に振る。
「…私が…浮気相手だったの…」
情けなさすぎて行けない、と涙をだらだらと流しながら口を尖らす。
「……。」
「本当に好きだったのに」
「…栄子は本当に悲しいと泣けないんだよ?」
「えっ…」
腕を引かれる。
次の瞬間、栄子は秀一の腕の中にいた。
「大丈夫…。俺がいるから」
耳元で優しく囁かれ、柔らかく頭を撫でる。
栄子は、ぐちゃぐちゃな顔だという事を忘れ、秀一の胸に顔をうずくめると、わんわんと泣いた。
よしよしと頭を撫でて宥める秀一。
どれだけ時間がたったのか。
栄子は少しずつ大人しくなっていく。
「栄子。」
ふいに名前を呼ばれ秀一を見上げる。
「あの男、殺してあげようか?」
冷たい声。妖しく光る瞳。
『俺が殺してやる』
頭で何かが鳴る。
「秀ちゃん?」
「嘘だよ、俺が人殺しになる。」
ふふふと笑う秀一に、栄子はなぜかほっとする。
「落ち着いた?」
「うん。ありがとう。」
栄子は秀一から離れようとした。
「秀ちゃん?」
なぜか秀一が離さない。
なぜ?
「栄子…。どうしよう。」
秀一は耳元で囁く。
「なっなにが?」
ギュッと抱きしめられ、どきどきする。
「俺のスーツ、栄子の涙と鼻水だらけだ。」
「!!!」
「俺、代えもってない。」
俺としたことが…と笑う。
「……。」
栄子の店はスーツのお店。
主にレディースだが…。
(でも秀ちゃんなら似合うかも…)