第20話 幼き思い出
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魔界の三大山と呼ばれる一つ、鬼斬山の頂上に蔵馬と飛影はいた。
飛影は邪眼を閉じると、舌打ちをする。
「…本当に魔界なんだろうな。」
邪眼で栄子の姿を確認出来ない事に、苛立ちを隠しきれず焦る飛影。
「……。」
「……まさか次は未来なんてオチじゃないだろうな。」
時代を超える感覚が短くなっているのなら逆に可能なのではないか、飛影は不安になる。
「…それはない。それなら、過去の可能性の方がまだある。」
すっと首の後ろからを黒い葉を出す。
「魔界の樅の葉だ。調合の仕方によっては時間を調節できる。俺にできたのは現代に留める作用までだ。」
「…それは、俺と会ってから持たせた物か?」
時間を遡ることの出来る植物は存在しなかった。
かといってその術を持つ妖怪も存在しない。
それは以前、二回目に姿を消した栄子を自身で探すために蔵馬が必死に調べた事だった。
結果、結局待つしかなかった彼は無事帰って来た彼女の姿を見て安堵した。
しかし、あんな想いはもうごめんだと、蔵馬は時間を留めることの出来る作用のある植物を探し出しそれを彼女に渡していた。
「今でももっている保障があるのか?」
「いや、飲ませたことがあるから大丈夫だ。心配ない。」
「……。ちゃんと飲んだのか?」
「無理やり、な。」
不適に笑う蔵馬に、一瞬背筋がぞっとする飛影だったが、秀一の姿でしたのであれば無茶はしていないのだろう…と考えを改める。
実際、彼女が風邪を引いた時に「良薬口に苦し」と、秀一が嫌だとわめく彼女に無理やり飲ませただけなのだが。
「過去ならどうする?…方法はないのか?」
「……過去の可能性は極めて低い。現代の可能性が高い。」
口元に手を当て考える蔵馬。
「だが、邪眼では…」
「邪眼は鴉の結界の中は入れなかっただろう?誰かが結界を張っている可能性がある。」
やはり知っていたのか…。飛影は怪訝そうに眉を寄せた。
「なんの必要があってだ?あいつを囲ってもなんの得にもならんと思うが。」
「可能性の話だ。俺は俺で情報を集める。飛影は邪眼で探してくれ、もし結界なら四六時中張っているなど、そう出来んからな。」
「……。」
(こいつは俺に四六時中、邪眼を開いとけと言っているのか…。)