第2話 痛みと優しさ
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それから、男は暴れる女をそのまま引っ張り店から出て行った。
嵐の様な出来事であった。
(何であんな人を好きだったんだろう…)
おかしかった行動、連絡の数のなさ、全てのパズルのピースが揃った感覚だった。
「…浅野さん?」
心配そうに中原は後ろから声をかける。
「あっ!すみません、私ショーケースにぶつかっちゃって!今すぐ片付けますね!」
栄子はヘラッと笑うと参ったなぁと呟きながらブラウスやアクセサリーを拾って直す。
「……大丈夫?」
中原も横にしゃがむと一緒に落ちた物を拾う。
「中原先輩ー。全然大丈夫なんですから、そんな暗くならないでくださいよ。」
栄子は「やっぱ変だと思ってたけど、そうきたか!」と笑う。
他のスタッフ達の空気も重い。
「……浅野さん。」
「……。」
中原は少しため息をつく。
「少し休憩してらっしゃい。」
「…。」
こくん、と素直に頷く栄子の瞳には涙が溜まって今にも流れ出してしまいそうだった。
ちょうど昼時だった。
秀一はたまたま栄子が働いている店の近くを通りかかった。
店から出てくる異様なカップル。
なんで彼女を引きずっているんだろう。
秀一は不思議に思った。
が男の顔を見た瞬間、秀一の瞳の色が変わった。
「なんであいつが…。なるほどね。」
様子を見るからに秀一はどんな事が店で起こったのか予想がつく。
しばらくすると栄子が俯いたまま店から出てきた。
声を掛けようとした秀一だったが、栄子は走って店の裏へいく。
「また泣いてるのか…」
秀一はやれやれとため息をついた。