第17話 過保護な奴ら
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夕方、街から少し離れた川沿いにある屋台に彼女達はいた。
おいしそうにたった今来た熱々のラーメンを口に頬張る栄子に、それを呆れた表情で頬杖えをつきながら眺める螢子。
「おいしい!!やっぱ幽助君のラーメンは塩に限る!!」
「おぉ、さんきゅ!たんまり食え。まだあっからよ。」
機嫌よく麺を茹でる幽助。
ここは螢子の彼氏、幽助のラーメン屋台である。
螢子に呼び出され、仕事後に直で来た栄子はお腹を空かせていた。
来た時から何か言いたそうにしている螢子を他所に彼女は自分の腹を満たすのに一生懸命であった。
さらに替え玉を頼み、満腹になるまで食べ続ける彼女に螢子は将来の彼女の食費を少し心配したとは言うまでもない。
「ごちそうさま。おいしかったです!」
満面の笑みで手を合わせ幽助にお辞儀をする。
「いいてことよ。食いたくなったらいつでも来いよ。…で、さっそくなんだが…」
ずっと螢子の視線が気になっていた幽助は、器を洗いながら螢子に視線を送る。
それにわぞとらしくため息をつく螢子。
「…栄子、話っていうのはね。」
元々話があるからと呼ばれた栄子。
改めて何か話そうとする彼女の思考を栄子は分かっていた。
きっと色々心配してくれているのだろう…
栄子はふふふと笑う。
「大丈夫だよ、実家だし。それにあれからなにもないし…。」
飛影に聞いたのだろうか。
最近ちょくちょく栄子の家を出入りする彼。
あの事件以来、彼は心配してくれているようで頻繁に様子を見に来る。
「あってからじゃ遅いじゃない。幽助もいざって時は頼りになるかもだし、私も側にいてくれたほうが安心だし、実家だからあれだけど交代で栄子の面倒を見ようかって…」
「…私は赤ちゃんかい。」
栄子は面倒を見るとはひどい言われようだ。と膨れ、幽助も「かもってなんだ、かもって…」と口を尖らせる。
実際実家で親もいるのだからそこまで心配しなくてもいいのでは…。
それにあれから変わったことはなにもない。
「でもね、心配なの。帰り道とか、遅いときとかあるじゃない?」
「子供じゃないんだし…」
栄子はがっくりと肩を落とす。
これだけ心配してくれているのは嬉しいし、ありがたいが心配しすぎた。
飛影でさえ一歩間違えばストーカーである。
「…でもね…」
「もう…、心配しすぎだよ。飛影がちょくちょく様子見に来てくれてるし大丈夫だよ。これ以上迷惑掛けらんないし。」
「でも…」
螢子の不安そうな様子を他所に幽助は苦笑する。
「螢子、栄子がこう言ってるんだ。俺達にまで監視されたくねぇだろうよ。飛影に任せて大丈夫だって。」
お酒をグラスに入れながらそう言うと、彼は一気にそれを仰ぐ。
「…幽助君、仕事中なんじゃ…」
「固てぇ事いうなって栄子。おまえらの前だけだ、なっ。」
にかっと笑う彼に、栄子はそっかぁ…と納得するが、螢子はここぞとばかりに睨む。
「まだ夕方なのに、これからお客来るかもしれないのにあんた酔っ払ってんじゃないわよ?わかってるの?」
「おめぇまで…」
「だいたい、飛影君仕事で忙しいし、修行もしなくちゃいけないのにずっと彼にお願いできるわけないでしょ?それに、く…秀一さんだって今はいないのに。」
「…修行?もしかして飛影も幽助君と同じ大会にでるの?」
栄子は幼なじみの出張を本当に自分だけが知らせれてなかったのだと、少し心が痛むものの、敢えて口には出さなかった。
一時は事故でも起こしたのではないかと心配もした栄子。しかし、彼の母親が連絡を取っている事が分かりそれは杞憂終わったものの、長年付き合いのある幼なじみを放置するなど、彼らしくないし、やはり信じられない。
(なかなか、慣れないな…)
そう思いながらも、今は気にしないように自分から彼の名は出さないようにしていた。
「おうよ、こないだ飛影とひさびさにやったが、あいつまた早くなりやがってなぁ、俺の方が力は若干勝っていたんだけどよ-…」
幽助の話の途中、こほんっと螢子はわざとらしく咳き込み幽助を睨む。
「へぇ、飛影も出るんだぁ。」
それに気付かず、応援いかなくっちゃ!!と瞳を爛々とさせる栄子に螢子はそれどころじゃないでしょうが!と声を荒げる。
「あんたは殺人妖怪に狙われてるのよ?幽助が言うには規約に人間の殺生は禁止って聞いたわ!いつどこで、次は拉致られるだけじゃすまないかもしれないのよ?」
幽助が妖怪だと栄子にばれてから、魔界の話を普通にするようになった螢子。
幽助もそうだった。
「…飛影が一緒だから大丈夫だってぇの。修行も仕事もあいつならうまくやれてるさ。第一、あいつ幹部だぜ?」
「なんの幹部よ、私そんな事知らないし!」
「ま、まぁまぁ…」
(そんなに心配しなくてもいいのに…)
いつの間にか栄子を置いて喧嘩をし出す二人に苦笑するしかなかった。