II
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日が沈みかけ、スラムで遊び回っている子供たちも家に帰り始める時間。私たちはマーケットを通り過ぎて、伍番街スラムを隔てる壁に空いた大きな穴をくぐった。
「公園?」
「ここから見える夕陽、綺麗なんだよ」
ゾウを模した遊具の上に登って、高くそびえ立つ鉄骨を見上げた。プレートの端から、少しだけ夕陽が見える。
「ザックスの瞳って、快晴の空みたいに綺麗」
「そうだろ?」
魔晄を浴びた者の瞳。ソルジャーの証。こんなに近くで見たのは、初めてだ。とても綺麗で、今にも吸い込まれてしまいそう。
「なぁ、ナマエはどうして神羅に入ったんだ?」
「んー……復讐、かな」
私とザックスを隔てるようにして、一陣の風が吹き抜けた
「神羅に?」
「私の出身、ウータイなんだ」
タークスの人たちに以外、話したいことのない昔の話。ザックスにならできる気がする。
「ごめん、俺、ナマエと初めて会った任務の時、ウータイの人たくさん殺した。でも、」
「わかってる! 私はウータイの人間だけど、ウータイを憎んでる」
ザックスの言葉を遮って、足りない言葉を伝える。彼はどことなくほっとした様子だった。
「理由、聞いてもいいのか?」
「ザックスに、聞いてほしいの」
私は、蓋をして隠していた過去をひとつずつ思い出しながら、ぽつりぽつりと話し始めた。
「昔、ウータイにあるお父さんの家で、家族三人で暮らしてたんだ。でもね、お母さん、本当は神羅の人間だったの、隠してたんだよ。
私、小さい時は、それがどういうことか知らなくて。初めて聞いた時、周りに住んでた友達に言っちゃった」
今でも、自慢するかのように、友達に言いふらしたことは覚えている。どうしてか、神羅にいた私の母だけが、他の子とは違う特別だと思っていたから。
「そして家に帰ったら、全部燃えてた。家も、お父さんも、お母さんも。近くで見てる人に助けてってお願いしても、誰も助けてくれなかった
それで、いつも持ち歩いてたこの刀だけ持って、出ていったの。くだらないよね、結局は全部私のせいなんだもん」
わかっていたはずなのに、声に出して伝えてみるとやっぱり悲しくて、嗚咽を漏らした。
「くだらなくなんかない!! ナマエはどうしたいんだよ?」
「うーん、最初はやっぱりウータイが憎くて、復讐のことしか考えてなかったけど、戦争は終わったし、今はタークスの一員として働きたいというか……」
「でもやっぱり、たまに思い出して悲しくなるよ」
自嘲すると、突然ザックスの腕に閉じ込められた。一瞬自分の体がどうなったのか理解が出来なくて、思考が止まった。
「俺にも背負わせてくれ、その悲しみを。泣きたい時は、俺の胸を貸してやるよ!」
「ありがとう」
やっぱりザックスって、優しい人だ。誰かにこうして甘えるなんて、初めてかもしれない。頭を撫でる大きな手の感触が、とても心地良い。
「どうしてザックスは、そんなに優しくしてくれるの?」
「それ聞いちゃう!?」
「だめなの?」
子犬のように眉毛を下げて、慌てるザックス。可愛い、頭撫でたい。
「ナマエが、好きだから」
少し遅れて、ザックスが今なんと言ったか、脳内で正確に解釈した。目をこれでもかと見開くこの一瞬が、永遠に感じた。
発火したのではないかと心配になるほど、顔が熱くなっていく。
「え」
「急にごめん! そろそろ帰るか」
それから帰宅するまで、ザックスと何を話したか全く覚えていない。
「公園?」
「ここから見える夕陽、綺麗なんだよ」
ゾウを模した遊具の上に登って、高くそびえ立つ鉄骨を見上げた。プレートの端から、少しだけ夕陽が見える。
「ザックスの瞳って、快晴の空みたいに綺麗」
「そうだろ?」
魔晄を浴びた者の瞳。ソルジャーの証。こんなに近くで見たのは、初めてだ。とても綺麗で、今にも吸い込まれてしまいそう。
「なぁ、ナマエはどうして神羅に入ったんだ?」
「んー……復讐、かな」
私とザックスを隔てるようにして、一陣の風が吹き抜けた
「神羅に?」
「私の出身、ウータイなんだ」
タークスの人たちに以外、話したいことのない昔の話。ザックスにならできる気がする。
「ごめん、俺、ナマエと初めて会った任務の時、ウータイの人たくさん殺した。でも、」
「わかってる! 私はウータイの人間だけど、ウータイを憎んでる」
ザックスの言葉を遮って、足りない言葉を伝える。彼はどことなくほっとした様子だった。
「理由、聞いてもいいのか?」
「ザックスに、聞いてほしいの」
私は、蓋をして隠していた過去をひとつずつ思い出しながら、ぽつりぽつりと話し始めた。
「昔、ウータイにあるお父さんの家で、家族三人で暮らしてたんだ。でもね、お母さん、本当は神羅の人間だったの、隠してたんだよ。
私、小さい時は、それがどういうことか知らなくて。初めて聞いた時、周りに住んでた友達に言っちゃった」
今でも、自慢するかのように、友達に言いふらしたことは覚えている。どうしてか、神羅にいた私の母だけが、他の子とは違う特別だと思っていたから。
「そして家に帰ったら、全部燃えてた。家も、お父さんも、お母さんも。近くで見てる人に助けてってお願いしても、誰も助けてくれなかった
それで、いつも持ち歩いてたこの刀だけ持って、出ていったの。くだらないよね、結局は全部私のせいなんだもん」
わかっていたはずなのに、声に出して伝えてみるとやっぱり悲しくて、嗚咽を漏らした。
「くだらなくなんかない!! ナマエはどうしたいんだよ?」
「うーん、最初はやっぱりウータイが憎くて、復讐のことしか考えてなかったけど、戦争は終わったし、今はタークスの一員として働きたいというか……」
「でもやっぱり、たまに思い出して悲しくなるよ」
自嘲すると、突然ザックスの腕に閉じ込められた。一瞬自分の体がどうなったのか理解が出来なくて、思考が止まった。
「俺にも背負わせてくれ、その悲しみを。泣きたい時は、俺の胸を貸してやるよ!」
「ありがとう」
やっぱりザックスって、優しい人だ。誰かにこうして甘えるなんて、初めてかもしれない。頭を撫でる大きな手の感触が、とても心地良い。
「どうしてザックスは、そんなに優しくしてくれるの?」
「それ聞いちゃう!?」
「だめなの?」
子犬のように眉毛を下げて、慌てるザックス。可愛い、頭撫でたい。
「ナマエが、好きだから」
少し遅れて、ザックスが今なんと言ったか、脳内で正確に解釈した。目をこれでもかと見開くこの一瞬が、永遠に感じた。
発火したのではないかと心配になるほど、顔が熱くなっていく。
「え」
「急にごめん! そろそろ帰るか」
それから帰宅するまで、ザックスと何を話したか全く覚えていない。
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