華やかに、激しく燃え上がる炎。それは全てを飲み込み、消していく。

｢いくらなんでも、ここまでしなくたって……｣
｢いいや、これはきっと罰なんだ。罪を犯した奴らへのな｣
｢いい気味だな……｣

一軒の住宅を囲むようにして、どんどん野次馬が増える。彼らは口々に言葉を発しているが、それは嘲笑う者、喜ぶ者が大半であった。


煙があたりに充満していき、次第に視界が悪くなっていくが、燃え上がる赤だけは彼らの目にも焼き付いた。


そんな中、まだ10歳くらいであろう一人の少女だけは、人だかりから逃げるようにして走っていった。少女の顔や服には、彼女自身のものではない返り血が、こびりついている。


そして彼女の手には、約50cmほどの、普通のものと比べれば少し短めであろう刀が、大事そうに握られていた。

｢はぁっ…はぁっ…逃げ、なきゃ……｣

少女はとても弱々しくて、すぐに人の波に押されて地面に転んでしまう。至る所を擦りむき、痛みと悲しさに涙が溢れて止まらなかったが、少女は何度転んでも必ず起き上がって走り出した。



少女の家と、思い出を焼き払った赤き炎は、残酷にもとても煌びやかで美しかった。