人造妖精と行き止まりの夢/メインストーリー

考えてみればおかしな話だった。

 王女との謁見なんて、滅多にできるもんじゃない。
 男性なら尚更だ。

 エルフェンバイン家は裕福だけれど、それは領地に恵まれていたからであって、貴族としての立場がそれほど高い訳ではない。

 騎士の家系でもあれば、護衛の名目で顔を合わせる事もあるだろう。
 しかし、ロベルトはそのような立場にはなく、ほとんどの時間を子爵邸での事務仕事や、領地の視察に当てていた。

 王女とは学校も違う、年も離れている。

 何をどうしたら王女と浮気なんてできるのだろう。
 顔を合わせることすら難しい相手と、どうやって。

 そもそも。

 ロベルトは、私を裏切るような人だっただろうか。
 未来の子爵にあるまじき、無責任な行いをする人だっただろうか。
 両親の期待を知りながら、それに反くような人だっただろうか。

「違う……そんな訳……」

 泣き喚いたところでもう遅い。
 彼はすでに軟禁されてしまった。
 私はもう、婚約者ですらない。

 軟禁先の地は山奥の廃村で、人が住む街からは遠い。

 村に繋がる道は一つだけ。

「そうよ。どうせ誰も見ていないんだから、
さっさと逃げて……」

 分かっている。
 ロベルトは今も律儀に軟禁生活を送っているに違いない。
 私が知る彼なら、きっとそうするはずだから。

 もう、私にはどうすることもできない。

 そうやって諦めて、また後悔するしかないんだ。

「そんなの嫌。ロベルトと会って話さなきゃ」

 もう二度と、彼に恥ずべき自分になりたくなかった。

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