般若
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機械から球が放り出される音。
金属がそれを叩く音、もしくはネットに当たる音。
自動ドアを潜れば、ここはいつもと変わらない。
けれど目当ての人物は、今日もいなかった。
「おらんのぉ」
思わずガックリと肩が落ちる。
「親父、この間からずっと人探しっすか」
「まぁな。どえらいべっぴんのホームラン女王や」
西田の問いに答えるが、「はぁ」という半端な声が返ってくるだけだった。
意味が分からないのだろうが、構わず続ける。
「ええとこのお嬢さん風やけど、中身はそうでもなさそうやったな。
たっかいヒール履いて、スカートのまんまスコーン!とホームラン打ちよる。それも何遍もやで」
「...もうちょっと特徴ないんですか」
「髪はまとめとったけど、
あら肩くらいまでやろな。栗色やったわ」
「そんな子いっぱいいるじゃないっすか」
西田の言葉に、俺は思わずその頭をパーで叩いた。
「このドアホ!ホームラン打つべっぴんが、
そう何人もいるわけないやろが!」
そうなのだ、と思う。
あんな面白い女、そうそういない。
だからもう一度会いたいと、暇さえあればここへ足を運んでいる。
今のところ10割10分10厘、会えていない。
「あー、つまらん」
仕方なくマイ金属バットを手に、打席に入ろうとした時だった。
カツカツと小気味良いヒールの音が聞こえ、次の瞬間には「あ」と間抜けな声がした。
振り返ればそこに、彼女がいる。
今日は仕事帰りなのか、小綺麗なセットアップを纏い、髪を下ろしていた。
「おぉ!ホームラン女王やんか!」
俺が歓喜の声を上げて両手を広げると、ホームランネェちゃんはギョッとした表情を浮かべる。
あんまり会いたくなかった、と顔に書いてあった。
「...どうも」
「なんや冷たいなぁ。
俺はネェちゃんとホームラン競争がしたくて、
あれからずぅっと待ってたんやで。
何日も帰らんと」
「絶対、嘘ですよね」
少し警戒が解けたのか、俺の冗談にネェちゃんがフッと笑った。
笑った顔がこれまたべっぴんで、不覚にもキュンとする。
「打ちに来たんやろ?
せやったら勝負しよや。
俺が買ったらネェちゃんと飯に行く権利ゲットや」
「私が勝ったら何してくれるんですか?」
「ネェちゃんの食いたいもん何でも食わしたる」
「それ、どっちでも一緒ですよね」
俺の冗談にコロコロと笑い、ネェちゃんは少し考えてから「まぁ、いっか」と言った。
「そやろ?勝負することに意味があんねん」
「じゃあ、私から」
相変わらずヒールのまま打席に入り、ネェちゃんは迷わず一番上のコースを選択する。
暫くすると150kmのストレートが機械から投げ出され、次の瞬間には軽快な金属音が響く。
一発目から球は綺麗な弧を描き、見事ホームランパネルに命中した。
「すげぇ...」
西田の感嘆の声が聞こえるけれど、
俺の視線はタイトなスカート越しの尻に夢中だった。
金属がそれを叩く音、もしくはネットに当たる音。
自動ドアを潜れば、ここはいつもと変わらない。
けれど目当ての人物は、今日もいなかった。
「おらんのぉ」
思わずガックリと肩が落ちる。
「親父、この間からずっと人探しっすか」
「まぁな。どえらいべっぴんのホームラン女王や」
西田の問いに答えるが、「はぁ」という半端な声が返ってくるだけだった。
意味が分からないのだろうが、構わず続ける。
「ええとこのお嬢さん風やけど、中身はそうでもなさそうやったな。
たっかいヒール履いて、スカートのまんまスコーン!とホームラン打ちよる。それも何遍もやで」
「...もうちょっと特徴ないんですか」
「髪はまとめとったけど、
あら肩くらいまでやろな。栗色やったわ」
「そんな子いっぱいいるじゃないっすか」
西田の言葉に、俺は思わずその頭をパーで叩いた。
「このドアホ!ホームラン打つべっぴんが、
そう何人もいるわけないやろが!」
そうなのだ、と思う。
あんな面白い女、そうそういない。
だからもう一度会いたいと、暇さえあればここへ足を運んでいる。
今のところ10割10分10厘、会えていない。
「あー、つまらん」
仕方なくマイ金属バットを手に、打席に入ろうとした時だった。
カツカツと小気味良いヒールの音が聞こえ、次の瞬間には「あ」と間抜けな声がした。
振り返ればそこに、彼女がいる。
今日は仕事帰りなのか、小綺麗なセットアップを纏い、髪を下ろしていた。
「おぉ!ホームラン女王やんか!」
俺が歓喜の声を上げて両手を広げると、ホームランネェちゃんはギョッとした表情を浮かべる。
あんまり会いたくなかった、と顔に書いてあった。
「...どうも」
「なんや冷たいなぁ。
俺はネェちゃんとホームラン競争がしたくて、
あれからずぅっと待ってたんやで。
何日も帰らんと」
「絶対、嘘ですよね」
少し警戒が解けたのか、俺の冗談にネェちゃんがフッと笑った。
笑った顔がこれまたべっぴんで、不覚にもキュンとする。
「打ちに来たんやろ?
せやったら勝負しよや。
俺が買ったらネェちゃんと飯に行く権利ゲットや」
「私が勝ったら何してくれるんですか?」
「ネェちゃんの食いたいもん何でも食わしたる」
「それ、どっちでも一緒ですよね」
俺の冗談にコロコロと笑い、ネェちゃんは少し考えてから「まぁ、いっか」と言った。
「そやろ?勝負することに意味があんねん」
「じゃあ、私から」
相変わらずヒールのまま打席に入り、ネェちゃんは迷わず一番上のコースを選択する。
暫くすると150kmのストレートが機械から投げ出され、次の瞬間には軽快な金属音が響く。
一発目から球は綺麗な弧を描き、見事ホームランパネルに命中した。
「すげぇ...」
西田の感嘆の声が聞こえるけれど、
俺の視線はタイトなスカート越しの尻に夢中だった。