サン、ハイ!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
焼肉店を出た後は皆散り散りになった。
西田さんたちは二次会に向かったけれど、私はそれを丁重に断って帰路に着いた。
何故だか真島社長も一緒に。
「本当に送って下さらなくても」
「あかん。夜の神室町は物騒なんや」
何度断っても真島社長は「送る」と言って聞かず、仕方なく言葉に甘えることにした。
ネオンが煌めく天下一通りを、二人で並んで歩いた。
私の歩幅に合わせてゆっくり歩く社長の横顔をチラリと覗く。
この人は普通にしていれば格好良いんだな、と思った。
「ほんまに楽しいか?仕事」
「楽しいですよ、すごく」
真島社長は嬉しそうに「ほうか」と呟いた。
「…嬉しかったんや」
「え?」
「美琴チャンが楽しいて言うてくれて。なんやホッとしたわ」
ちょっと照れたように社長が笑うので、私は戸惑った。
いつもこの人は飄々としていて、独特のペースで人を乱す。
だからこんな風にちゃんと話をしたことなんて一度もなかった。
「…私、何をやっても上手くいかなくて。
だからここが最後の砦だって思ってたんですけど…
でもそうじゃなくても、真島建設で働いて良かったってきっと思ってますよ」
「美琴チャンはおっさん喜ばすのうまいのぉ」
「社長は全然おじさんじゃないですよ。体も鍛えてらっしゃるし、若いです」
それは心からの本心だった。背が高く細身なのに、ジャケットから覗く腹筋にいつも目が奪われる。
今流行りの細マッチョって奴だろうか。
「社長やない。真島さんや」
「え?」
「社長って呼ばれんの好きやないねん。真島さんって呼び」
「真島…さん」
「せや」
満足そうにそう呟いた真島さんが、私の頭をポンと撫でた。
ネオンに照らされた横顔は鼻の高さが強調されて、より一層格好良く見える。
「これからも頼むで、美琴チャン。もうお前はわしらの仲間や」
「頑張ります」
不覚にもドキッとしてしまい慌てる。この人は全然私のタイプじゃない。
というか多くの人の概念を逸脱している。
一瞬脳裏に"ギャップ"という言葉が浮かんで、必死にそれをかき消した。
真島吾朗はギャップの天才、これを肝に銘じておこう。
そう思っていたはずなのに、私はこれからこの人に惑わされていくことになる。
西田さんたちは二次会に向かったけれど、私はそれを丁重に断って帰路に着いた。
何故だか真島社長も一緒に。
「本当に送って下さらなくても」
「あかん。夜の神室町は物騒なんや」
何度断っても真島社長は「送る」と言って聞かず、仕方なく言葉に甘えることにした。
ネオンが煌めく天下一通りを、二人で並んで歩いた。
私の歩幅に合わせてゆっくり歩く社長の横顔をチラリと覗く。
この人は普通にしていれば格好良いんだな、と思った。
「ほんまに楽しいか?仕事」
「楽しいですよ、すごく」
真島社長は嬉しそうに「ほうか」と呟いた。
「…嬉しかったんや」
「え?」
「美琴チャンが楽しいて言うてくれて。なんやホッとしたわ」
ちょっと照れたように社長が笑うので、私は戸惑った。
いつもこの人は飄々としていて、独特のペースで人を乱す。
だからこんな風にちゃんと話をしたことなんて一度もなかった。
「…私、何をやっても上手くいかなくて。
だからここが最後の砦だって思ってたんですけど…
でもそうじゃなくても、真島建設で働いて良かったってきっと思ってますよ」
「美琴チャンはおっさん喜ばすのうまいのぉ」
「社長は全然おじさんじゃないですよ。体も鍛えてらっしゃるし、若いです」
それは心からの本心だった。背が高く細身なのに、ジャケットから覗く腹筋にいつも目が奪われる。
今流行りの細マッチョって奴だろうか。
「社長やない。真島さんや」
「え?」
「社長って呼ばれんの好きやないねん。真島さんって呼び」
「真島…さん」
「せや」
満足そうにそう呟いた真島さんが、私の頭をポンと撫でた。
ネオンに照らされた横顔は鼻の高さが強調されて、より一層格好良く見える。
「これからも頼むで、美琴チャン。もうお前はわしらの仲間や」
「頑張ります」
不覚にもドキッとしてしまい慌てる。この人は全然私のタイプじゃない。
というか多くの人の概念を逸脱している。
一瞬脳裏に"ギャップ"という言葉が浮かんで、必死にそれをかき消した。
真島吾朗はギャップの天才、これを肝に銘じておこう。
そう思っていたはずなのに、私はこれからこの人に惑わされていくことになる。