明日をリノベート
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頭が痛い。割れるように痛い。昨夜飲み過ぎたせいだ。
昨日は韓来を貸し切って真島さんの快気祝いをしたはずだ。
私は感情に流されるまま普段飲まない量のお酒を飲んで、
酷い二日酔いになった。
この気持ち悪さは飲み過ぎた翌日特有のものであるから、
それに間違いはないだろう。
そこまで考えてから、あれどうしたっけ、と思った。
それからどうしたんだっけ、どうやって帰ったんだっけ。
重たい体で無理やり寝返りを打って、ハッとした。
自宅とは違うシーツの感触と香りがする。
それになんだかベッドが広い。
私は勢い良く起き上がると、目を見開いた。
赤を基調とした壁紙に、黒い家具。
見たこともないような高級品ばかりが並ぶ寝室は、
知らない部屋だった。
「…え……」
慌てて衣服を確認するが、昨日来ていた洋服のままでホッとする。
良く見れば私のコートはきちんとハンガーにかけてあった。
瞬きを何度が繰り返すが、記憶は戻って来ない。
時計を見れば時刻は昼の12時を過ぎた所で、
会社!と思うが、今日は土曜だった。
「起きたんか?」
広い寝室の向こうから、くぐもった声が聞こえた。
その独特のイントネーションに、私の頬が熱くなる。
「ま…真島さん」
「起きたんやな、開けるで」
ガチャリと扉が開いた後で、真島さんが入ってくる。
彼は上半身裸で、下にスウェットを履いていた。
「あ…あ…なんで裸なんですか」
「なんでって、シャワー浴びたからやんか」
言われれば確かに髪の毛が濡れていて、やけに艶っぽい。
いつもはチラッとしか見えない刺青も、今はしっかりと見えていた。
普段見れない真島さんの姿に、私はドキドキしている。
「あの…私…なんで…」
しどろもどろになる私の頭を、真島さんの大きな手が撫でた。
それが少しくすぐったくて、心地良い。
「あんま飲み過ぎたらアカン。わしやなかったら食われとるで」
「あぁ…」
あまりの恥ずかしさに、私は両手で顔を覆った。
昨夜の事はあまり覚えていないが、
恐らく酷い失態を犯したのだろう。
たぶん飲み過ぎて潰れた私を、
真島さんが連れ帰ってくれたに違いない。
「ごめんなさい、本当に」
「ま、珍しいもん見れたわ」
真島さんはヒヒ、と短く笑って
「コーヒー飲んだら帰り」とカップを差し出した。
私は手渡されたそれを取って、大人しく一口飲んだ。
「…美味しいですね」
「せやろ」
「…あの、真島さん」
「ん、なんや」
真島さんが私が座るベッドの隣に腰かけた。
スプリングの軋む音がした後で、シャンプーの香りが鼻を掠める。
いつもは香水と煙草の匂いしかしないから、新鮮だった。
「私ちゃんとお礼を言えてなくて…怒ったりしてごめんなさい」
「ホンマやで。わしのキララが可哀そうやったわ」
「もう…真面目に話してるのに」
「スマンスマン」
隣で笑う真島さんをチラリと見る。
やっぱり私は、この人の事が好きだ。
「ありがとうございました。本当に何てお礼を言ったらいいか…」
「かまへん。前にも言ったかも知れんけど、
わしが好きでやったことや。
礼がしたいなら、これらから仕事で返してくれたらいいわ」
真島さんはフッと笑って、「せっかくの土曜や」と言った。
「早よ帰って、休日を楽しまなアカン」
私の手からカップが取り上げられる。
あ、と思うけれど、何も言えなかった。
まだ言いたいことがあるはずなのに、私は口にできない。
仕方なく立ち上がると、コートを羽織った。
「コーヒー、ごちそうさまでした」
「おう、タクシーで帰るんやで」
ペコリと頭を下げて部屋を後にする。
リビングに置かれた黒いソファには、毛布があった。
私をベッドに寝かせて、真島さんはそこで寝たのだろう。
そう思うと胸がじんわり温かくなって、余計名残惜しくなる。
玄関にはきちんと揃えらえた私の靴があって、
それを履いて家を出た。
真島さんの部屋は高層マンションの12階。
エレベーターのボタンを押して、下から上がって来た箱に乗った。
1と書かれたボタンを押した後、
扉がゆっくりと閉まるのを、私はただ見つめる。
本当に、このままでいいの?そんな思いが込み上げてきた。
昨日は韓来を貸し切って真島さんの快気祝いをしたはずだ。
私は感情に流されるまま普段飲まない量のお酒を飲んで、
酷い二日酔いになった。
この気持ち悪さは飲み過ぎた翌日特有のものであるから、
それに間違いはないだろう。
そこまで考えてから、あれどうしたっけ、と思った。
それからどうしたんだっけ、どうやって帰ったんだっけ。
重たい体で無理やり寝返りを打って、ハッとした。
自宅とは違うシーツの感触と香りがする。
それになんだかベッドが広い。
私は勢い良く起き上がると、目を見開いた。
赤を基調とした壁紙に、黒い家具。
見たこともないような高級品ばかりが並ぶ寝室は、
知らない部屋だった。
「…え……」
慌てて衣服を確認するが、昨日来ていた洋服のままでホッとする。
良く見れば私のコートはきちんとハンガーにかけてあった。
瞬きを何度が繰り返すが、記憶は戻って来ない。
時計を見れば時刻は昼の12時を過ぎた所で、
会社!と思うが、今日は土曜だった。
「起きたんか?」
広い寝室の向こうから、くぐもった声が聞こえた。
その独特のイントネーションに、私の頬が熱くなる。
「ま…真島さん」
「起きたんやな、開けるで」
ガチャリと扉が開いた後で、真島さんが入ってくる。
彼は上半身裸で、下にスウェットを履いていた。
「あ…あ…なんで裸なんですか」
「なんでって、シャワー浴びたからやんか」
言われれば確かに髪の毛が濡れていて、やけに艶っぽい。
いつもはチラッとしか見えない刺青も、今はしっかりと見えていた。
普段見れない真島さんの姿に、私はドキドキしている。
「あの…私…なんで…」
しどろもどろになる私の頭を、真島さんの大きな手が撫でた。
それが少しくすぐったくて、心地良い。
「あんま飲み過ぎたらアカン。わしやなかったら食われとるで」
「あぁ…」
あまりの恥ずかしさに、私は両手で顔を覆った。
昨夜の事はあまり覚えていないが、
恐らく酷い失態を犯したのだろう。
たぶん飲み過ぎて潰れた私を、
真島さんが連れ帰ってくれたに違いない。
「ごめんなさい、本当に」
「ま、珍しいもん見れたわ」
真島さんはヒヒ、と短く笑って
「コーヒー飲んだら帰り」とカップを差し出した。
私は手渡されたそれを取って、大人しく一口飲んだ。
「…美味しいですね」
「せやろ」
「…あの、真島さん」
「ん、なんや」
真島さんが私が座るベッドの隣に腰かけた。
スプリングの軋む音がした後で、シャンプーの香りが鼻を掠める。
いつもは香水と煙草の匂いしかしないから、新鮮だった。
「私ちゃんとお礼を言えてなくて…怒ったりしてごめんなさい」
「ホンマやで。わしのキララが可哀そうやったわ」
「もう…真面目に話してるのに」
「スマンスマン」
隣で笑う真島さんをチラリと見る。
やっぱり私は、この人の事が好きだ。
「ありがとうございました。本当に何てお礼を言ったらいいか…」
「かまへん。前にも言ったかも知れんけど、
わしが好きでやったことや。
礼がしたいなら、これらから仕事で返してくれたらいいわ」
真島さんはフッと笑って、「せっかくの土曜や」と言った。
「早よ帰って、休日を楽しまなアカン」
私の手からカップが取り上げられる。
あ、と思うけれど、何も言えなかった。
まだ言いたいことがあるはずなのに、私は口にできない。
仕方なく立ち上がると、コートを羽織った。
「コーヒー、ごちそうさまでした」
「おう、タクシーで帰るんやで」
ペコリと頭を下げて部屋を後にする。
リビングに置かれた黒いソファには、毛布があった。
私をベッドに寝かせて、真島さんはそこで寝たのだろう。
そう思うと胸がじんわり温かくなって、余計名残惜しくなる。
玄関にはきちんと揃えらえた私の靴があって、
それを履いて家を出た。
真島さんの部屋は高層マンションの12階。
エレベーターのボタンを押して、下から上がって来た箱に乗った。
1と書かれたボタンを押した後、
扉がゆっくりと閉まるのを、私はただ見つめる。
本当に、このままでいいの?そんな思いが込み上げてきた。