飢えた犬の如く
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さて、どうしたものか。
桐生チャンからの頼まれ事の他に、俺にはやらなければならないことがある。
西田や他の従業員を使って、美琴に対する嫌がらせの犯人を捕まえはしたが、
所詮イタチごっこ、末端に過ぎない。
黒幕を見つけない限りは害虫と同じで、どんどん湧き出てくるのだろう。
工期も迫っているし、西田たちは使えない。
そう考えていたところで、胸ポケットの携帯電話が震えた。
「おう、俺だ」
電話の主はサイの花屋と呼ばれる伝説の情報屋だった。
「お前さんに頼まれてた一件、大体の目星がついたぞ」
「悪いな。今から行くわ」
俺は電話を切ると、ミレニアムタワーへと急いだ。
花屋に頼んでおいて良かったと思う。蛇の道は蛇、とは良く言ったものだ。
ミレニアムタワーの50階に辿り着くと「今回の情報料は高ぇぞ」と、
花屋が出迎えてくれた。
「かまへん。金に糸目は付けんわ」
「あんたがそこまで言うんだ。相当入れ込んでるんだな、その女に」
「うっさいわ、ボケ」
ニヤニヤと意地悪く笑う花屋を「早くしろ」と急かす。
暫くすると大きな画面一杯に、眼鏡を掛けた頭の良さそうな男が映し出された。
「誰や、コイツ」
「大橋コンサルティングって言ってな、そこそこ大きな会社の御曹司だよ」
画面には会社のホームページから引っ張ったと思われる画像と、監視カメラから
得られたと思われる映像がいくつか映されていた。
一見ただの優男に見えるが、良く見れば顔立ちが整っている。
二重のくっきりとした目元に、すっと通った鼻立ち。
この容姿端麗な御曹司と美琴の接点は一体どこにあるのだろうか。
「そのお嬢さんと大橋の接点は分からねぇ。ただこの男が裏で糸を引いてるのは確かだ。
表向きはそれなりにクリーンな会社だが、裏じゃヤクザもんとつるんでるみたいだしな。
部下を使ってそこらのホームレスや借金苦の若い奴なんかを操ってる」
「どこの組のモンや。東城会か」
「いや、チンケな下町のヤクザを何組か囲ってるだけのようだ」
花屋の操作によって画面が切り替わる。
銀座かどこかの高級クラブだろうか、大橋と極道者と思われる人間が酒を酌み交わす映像だった。
「一体なんの恨みがあるんや」
「そればっかりは本人に聞くしかねぇだろう。頭の中までは覗けねぇ」
花屋は「それから」と言って、A4サイズの茶封筒を手渡してきた。
「こいつは警察から拝借した、お嬢さんの父親が起こした事件の捜査資料だ」
「手が早いもんやな」
「そいつはツケといてやるよ」
俺は「おおきに」とだけ言って部屋を後にする。
やることが多くて忙しい。けれど腕が鳴る仕事だなと思った。
久しぶりに大暴れしてやるか、とエレベーターの中で一人笑った。
桐生チャンからの頼まれ事の他に、俺にはやらなければならないことがある。
西田や他の従業員を使って、美琴に対する嫌がらせの犯人を捕まえはしたが、
所詮イタチごっこ、末端に過ぎない。
黒幕を見つけない限りは害虫と同じで、どんどん湧き出てくるのだろう。
工期も迫っているし、西田たちは使えない。
そう考えていたところで、胸ポケットの携帯電話が震えた。
「おう、俺だ」
電話の主はサイの花屋と呼ばれる伝説の情報屋だった。
「お前さんに頼まれてた一件、大体の目星がついたぞ」
「悪いな。今から行くわ」
俺は電話を切ると、ミレニアムタワーへと急いだ。
花屋に頼んでおいて良かったと思う。蛇の道は蛇、とは良く言ったものだ。
ミレニアムタワーの50階に辿り着くと「今回の情報料は高ぇぞ」と、
花屋が出迎えてくれた。
「かまへん。金に糸目は付けんわ」
「あんたがそこまで言うんだ。相当入れ込んでるんだな、その女に」
「うっさいわ、ボケ」
ニヤニヤと意地悪く笑う花屋を「早くしろ」と急かす。
暫くすると大きな画面一杯に、眼鏡を掛けた頭の良さそうな男が映し出された。
「誰や、コイツ」
「大橋コンサルティングって言ってな、そこそこ大きな会社の御曹司だよ」
画面には会社のホームページから引っ張ったと思われる画像と、監視カメラから
得られたと思われる映像がいくつか映されていた。
一見ただの優男に見えるが、良く見れば顔立ちが整っている。
二重のくっきりとした目元に、すっと通った鼻立ち。
この容姿端麗な御曹司と美琴の接点は一体どこにあるのだろうか。
「そのお嬢さんと大橋の接点は分からねぇ。ただこの男が裏で糸を引いてるのは確かだ。
表向きはそれなりにクリーンな会社だが、裏じゃヤクザもんとつるんでるみたいだしな。
部下を使ってそこらのホームレスや借金苦の若い奴なんかを操ってる」
「どこの組のモンや。東城会か」
「いや、チンケな下町のヤクザを何組か囲ってるだけのようだ」
花屋の操作によって画面が切り替わる。
銀座かどこかの高級クラブだろうか、大橋と極道者と思われる人間が酒を酌み交わす映像だった。
「一体なんの恨みがあるんや」
「そればっかりは本人に聞くしかねぇだろう。頭の中までは覗けねぇ」
花屋は「それから」と言って、A4サイズの茶封筒を手渡してきた。
「こいつは警察から拝借した、お嬢さんの父親が起こした事件の捜査資料だ」
「手が早いもんやな」
「そいつはツケといてやるよ」
俺は「おおきに」とだけ言って部屋を後にする。
やることが多くて忙しい。けれど腕が鳴る仕事だなと思った。
久しぶりに大暴れしてやるか、とエレベーターの中で一人笑った。