笑顔をクリエイト
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今日も真島さんは絶賛不機嫌中。
朝礼で西田さんを蹴飛ばし、それからずっと無言を貫いている。
最近はこうして機嫌が悪いことが多くて戸惑っていた。
桐生さんが事務所に顔を出すようになって、余計にそれが増えた気がする。
「.................」
なんだか視線を感じて、パソコンから少し顔を上げると、そこには無言の圧力をかけてくる真島さんがいた。
その顔には「話しかけろ」と書いてある。
「...あの」
「なんや」
「...何にそんな怒ってるんですか」
仕方なく聞いてあげれば、真島さんは余計怒った顔で「美琴は」と口を開いた。
「美琴は桐生チャンに惚れとるんか」
「...はい?」
数回瞬きを繰り返すが「どうなんや」と詰め寄られた。
「惚れてなんかないですよ!何ですか急に」
私は首を振って否定するけれど、真島さんの顔には納得いかないと書いてある。
「そりゃかっこいいとは思いますけど、別に好きとかじゃ...」
「ええか、桐生チャンはな」
真島さんは人差し指を突き立て、「ムッツリの変態や」と続けた。
「あない硬派に見せて個室ビデオ屋に入り浸ったり、キャバクラ通って女口説いたり、そりゃもう手当たり次第なんや」
「...えぇと......」
「それにやな、女をその気にさせるのが上手い割に、その気にさせたらポイやで。釣った魚に餌をやらんとはアレのことをいうんや」
「...あの、真島さん?」
「なんや、まだあるで」
「そうじゃなくて」
そこまで言い掛けて私は笑った。
「もしかして、私が桐生さんのこと好きだって思ってたから、機嫌悪かったんですか」
笑いながらそう聞くと「何言うてんねん!」と叱られる。
けれど顔には「そうや」と書いてある気がした。
「私、桐生さんに恋したりしてないですよ。
素敵だなと思うけど、付き合いたいとかじゃないです。芸能人みたいにかっこいいから、会うと緊張しちゃうだけです」
「...ホンマか」
「ホンマです。それに桐生さんって恋人いるんじゃなかったですか」
「興味ないですけど」と続ければ、途端に真島さんの顔が明るくなった。
「ほうか」とか「なんや」とか呟いている。
「せやけどかっこいいは聞き捨てならんな。
騙されたらアカン、絶対にアカン」
この人は相当桐生さんに負けたくないらしい。
私はそう思って「真島さんもかっこいいですよ」と言ってあげる。
「...そやろ?」
まるで機嫌の良くなった真島さんは、デスクに長い足を放り出すと鼻歌を歌い始めた。
なんか、ちょろい。私はそう思ってクスリと笑った。
けれど...とそこで考える。
「どうして桐生さんが個室ビデオ屋に行ってるのとか、知ってるんですか?」
まさか自分では口にしないだろう、と思って質問すれば「つけ回しとったからや」と返ってきた。
せっかく機嫌が良くなったのだから、変態はあなたの方ですよ、とは口にしないでおいた。
この時私はこの楽しい毎日がまだ暫く続くと信じていて、もうすぐ地獄に叩き落とされるなんて思っていなかった。
運命の歯車は突然動き出す。
建築みたいに、人生は設計図通りにはならない。
朝礼で西田さんを蹴飛ばし、それからずっと無言を貫いている。
最近はこうして機嫌が悪いことが多くて戸惑っていた。
桐生さんが事務所に顔を出すようになって、余計にそれが増えた気がする。
「.................」
なんだか視線を感じて、パソコンから少し顔を上げると、そこには無言の圧力をかけてくる真島さんがいた。
その顔には「話しかけろ」と書いてある。
「...あの」
「なんや」
「...何にそんな怒ってるんですか」
仕方なく聞いてあげれば、真島さんは余計怒った顔で「美琴は」と口を開いた。
「美琴は桐生チャンに惚れとるんか」
「...はい?」
数回瞬きを繰り返すが「どうなんや」と詰め寄られた。
「惚れてなんかないですよ!何ですか急に」
私は首を振って否定するけれど、真島さんの顔には納得いかないと書いてある。
「そりゃかっこいいとは思いますけど、別に好きとかじゃ...」
「ええか、桐生チャンはな」
真島さんは人差し指を突き立て、「ムッツリの変態や」と続けた。
「あない硬派に見せて個室ビデオ屋に入り浸ったり、キャバクラ通って女口説いたり、そりゃもう手当たり次第なんや」
「...えぇと......」
「それにやな、女をその気にさせるのが上手い割に、その気にさせたらポイやで。釣った魚に餌をやらんとはアレのことをいうんや」
「...あの、真島さん?」
「なんや、まだあるで」
「そうじゃなくて」
そこまで言い掛けて私は笑った。
「もしかして、私が桐生さんのこと好きだって思ってたから、機嫌悪かったんですか」
笑いながらそう聞くと「何言うてんねん!」と叱られる。
けれど顔には「そうや」と書いてある気がした。
「私、桐生さんに恋したりしてないですよ。
素敵だなと思うけど、付き合いたいとかじゃないです。芸能人みたいにかっこいいから、会うと緊張しちゃうだけです」
「...ホンマか」
「ホンマです。それに桐生さんって恋人いるんじゃなかったですか」
「興味ないですけど」と続ければ、途端に真島さんの顔が明るくなった。
「ほうか」とか「なんや」とか呟いている。
「せやけどかっこいいは聞き捨てならんな。
騙されたらアカン、絶対にアカン」
この人は相当桐生さんに負けたくないらしい。
私はそう思って「真島さんもかっこいいですよ」と言ってあげる。
「...そやろ?」
まるで機嫌の良くなった真島さんは、デスクに長い足を放り出すと鼻歌を歌い始めた。
なんか、ちょろい。私はそう思ってクスリと笑った。
けれど...とそこで考える。
「どうして桐生さんが個室ビデオ屋に行ってるのとか、知ってるんですか?」
まさか自分では口にしないだろう、と思って質問すれば「つけ回しとったからや」と返ってきた。
せっかく機嫌が良くなったのだから、変態はあなたの方ですよ、とは口にしないでおいた。
この時私はこの楽しい毎日がまだ暫く続くと信じていて、もうすぐ地獄に叩き落とされるなんて思っていなかった。
運命の歯車は突然動き出す。
建築みたいに、人生は設計図通りにはならない。