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「これ明菜ちゃんから」
寝屋に帰るなり、春日に見覚えのある紙袋を渡される。
あの後明菜はやはりここに寄って、そして自分の帰りを待たず帰ったのだろう。
「いい子じゃねぇか。おまけにべっぴんだ」
「まさかぁ、春日くん惚れちゃったのぉ?」
揶揄うようにそう言うと、「ばーか」と軽く小突かれた。
俺も自分のことを馬鹿だと思う。
紙袋を開けてみれば、また昨日と違う服だった。
俺の趣味を把握している明菜はちゃんとセンスの良いものを買ってくる。
綺麗に畳まれた洋服の下を見ればそこには可愛げのないタッパーが入っていた。
中身は見なくてもわかる。
明菜ちゃん特性炒飯だ。
炒飯は俺の専売特許なんだけど…
自分が作り方を教えたのだから、味はわかっている。
おまけに俺が作る方が美味い。
そう分かっているのに、嬉しかった。
「なぁ、趙。お前、あの子のことどうする気なんだよ」
春日くんはすぐに野暮なことを聞く。
どうするもこうするも、そんなことは自分が一番分からないのだ。
手元に置いておきたい
遠くに追いやってしまいたい
その狭間で、もう何年も揺れてきたというのに。
「明菜ちゃんはお前がソンヒに惚れてるって思ってるみたいだぜ」
春日くんのその言葉で、痛いほどの視線が背中に刺さる。
「やめてよー。俺、この色男を敵に回す気なんか、ないよ」
振り返ることなく、親指だけでハン・ジュンギを指した。
ソンヒに惚れていない訳ではないが、それは組織を引っ張るという立場上のことで
彼女を女として見たことは一度もない。
いや、一度もないというのは嘘になるだろうか。
あれはあれで夜が激しそうでちょっとイイよねぇ…
無粋な想像をするが、それすらもハン・ジュンギの視線にかき消される気がした。
総帥という向かない立場に押し上げられた自分と違って、ソンヒはその為に生まれたような人だった。
星龍会の星野もそうだが、彼らは確実に自分と違うものを持っている。
時にはそれが羨ましく、妬ましくもあった。
「それよりあの子、異人三の共闘を知ってるんだろ」
春日くんの言葉にピクリと反応する。
一体いつの間にそこまで仲良くなったのだろう。
「危ないんじゃねぇのか。一人でこの町をフラつかせて」
「それならもう対策済み」
短く答えて、ハン・ジュンギの方を見やる。
色男はコクリと頷いたが、先ほどの春日の言葉を気にしているのか眼光は鋭いままだった。
「コミュジュルは燃えたといってもまだまだ監視網を持ってるからねぇ。
明菜のことは見といてくれるようにお願いしてある。
それから俺にもまだ少なからず部下はいるんだよ」
「そっちにもお願いしてある」と言って、カウンターに置かれたグラスを取った。
本当はこの手で守るべきなのかも知れないのに、それができないからもどかしい。
どこか遠くに押しやることが一番安全だと分かっているのに、俺にはそれができないでいる。
「もう散々傷つけたからねぇ…本当は嫌われたいくらいだよ」
誰にも聞こえないくらいの声でそう呟くと、明菜ちゃん特性炒飯を開けた。
香ばしい香りが鼻孔を擽り、また腕を上げたなと思う。
この町にあの子を縛り付けているのは自分自身だと分かっているのに…
「美味そうなもん食ってるじゃねぇの」
ニヤニヤした春日くんがこっちを見ている。
「本当に野暮だねぇ」
一口ちょうだいと言われても、絶対にやらないとそう思った。
寝屋に帰るなり、春日に見覚えのある紙袋を渡される。
あの後明菜はやはりここに寄って、そして自分の帰りを待たず帰ったのだろう。
「いい子じゃねぇか。おまけにべっぴんだ」
「まさかぁ、春日くん惚れちゃったのぉ?」
揶揄うようにそう言うと、「ばーか」と軽く小突かれた。
俺も自分のことを馬鹿だと思う。
紙袋を開けてみれば、また昨日と違う服だった。
俺の趣味を把握している明菜はちゃんとセンスの良いものを買ってくる。
綺麗に畳まれた洋服の下を見ればそこには可愛げのないタッパーが入っていた。
中身は見なくてもわかる。
明菜ちゃん特性炒飯だ。
炒飯は俺の専売特許なんだけど…
自分が作り方を教えたのだから、味はわかっている。
おまけに俺が作る方が美味い。
そう分かっているのに、嬉しかった。
「なぁ、趙。お前、あの子のことどうする気なんだよ」
春日くんはすぐに野暮なことを聞く。
どうするもこうするも、そんなことは自分が一番分からないのだ。
手元に置いておきたい
遠くに追いやってしまいたい
その狭間で、もう何年も揺れてきたというのに。
「明菜ちゃんはお前がソンヒに惚れてるって思ってるみたいだぜ」
春日くんのその言葉で、痛いほどの視線が背中に刺さる。
「やめてよー。俺、この色男を敵に回す気なんか、ないよ」
振り返ることなく、親指だけでハン・ジュンギを指した。
ソンヒに惚れていない訳ではないが、それは組織を引っ張るという立場上のことで
彼女を女として見たことは一度もない。
いや、一度もないというのは嘘になるだろうか。
あれはあれで夜が激しそうでちょっとイイよねぇ…
無粋な想像をするが、それすらもハン・ジュンギの視線にかき消される気がした。
総帥という向かない立場に押し上げられた自分と違って、ソンヒはその為に生まれたような人だった。
星龍会の星野もそうだが、彼らは確実に自分と違うものを持っている。
時にはそれが羨ましく、妬ましくもあった。
「それよりあの子、異人三の共闘を知ってるんだろ」
春日くんの言葉にピクリと反応する。
一体いつの間にそこまで仲良くなったのだろう。
「危ないんじゃねぇのか。一人でこの町をフラつかせて」
「それならもう対策済み」
短く答えて、ハン・ジュンギの方を見やる。
色男はコクリと頷いたが、先ほどの春日の言葉を気にしているのか眼光は鋭いままだった。
「コミュジュルは燃えたといってもまだまだ監視網を持ってるからねぇ。
明菜のことは見といてくれるようにお願いしてある。
それから俺にもまだ少なからず部下はいるんだよ」
「そっちにもお願いしてある」と言って、カウンターに置かれたグラスを取った。
本当はこの手で守るべきなのかも知れないのに、それができないからもどかしい。
どこか遠くに押しやることが一番安全だと分かっているのに、俺にはそれができないでいる。
「もう散々傷つけたからねぇ…本当は嫌われたいくらいだよ」
誰にも聞こえないくらいの声でそう呟くと、明菜ちゃん特性炒飯を開けた。
香ばしい香りが鼻孔を擽り、また腕を上げたなと思う。
この町にあの子を縛り付けているのは自分自身だと分かっているのに…
「美味そうなもん食ってるじゃねぇの」
ニヤニヤした春日くんがこっちを見ている。
「本当に野暮だねぇ」
一口ちょうだいと言われても、絶対にやらないとそう思った。