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自分でも“甘い“ということは理解している。
春日くんに指摘されなくても、半端なことをしたと分かっていた。
「つい構いたくなっちゃうんだもーん」
そこに誰がいる訳でもなく、独りごちた。
見慣れた中華街の近くには今は寄れない。
あまり関わることのなかった日本人街をあてもなく歩く。
あいつ、少し痩せたかなぁ。
オッパイ減ってなきゃいいけど。
そんなことを思い、一人笑った。
やつれさせた原因は自分に他ならなく、触れることさえなかった女を思う。
触れないくらいあいつが大事?
何を今更...
ずっと明菜を避け続けてきたのは趙の自身だった。
彼女からの恋心にはとうの昔に気付いている。
触れようと思えばいつでもそうできる距離に明菜はいた。
けれ敢えてそうしなかった。
目の前で他の女を抱き、傷つけたことさえある。
在日マフィアのコミュニティ内で、彼女の居場所が自分の側にしかなかったことを趙はよく知っていた。
ただ自分一人が彼女の味方であるから、それだけの理由が明菜に恋心に似た感情を生ませたのかも知れない。
それにあの子はカタギの娘だ。
ここにしか居場所のない人間とは違う。
外に出ればあっという間に自分よりもっと良い男に出会うかも知れない。
もっといい男との、もっといい暮らしが待っているに違いない。
もとい、もう自分には権力も財力も残っていないのだから。
そんなことを考えながら当てもなく彷徨っていると、気付けば寝屋の近くまで来ていた。
今の生活は悪くないと思う。
住まいは質素になったし、あれだけの男が密集すればとにかく狭い。
以前とは全く毛色の違う仲間達。
けれど不思議と居心地は悪くなかった。
仲間達、だって。
自分で思い、むず痒くなる。
俺って春日くんのこと、結構気に入ってるんだよな
帰ろうかと歩みを確かにした時、先を歩く女の姿が目に映った。
明菜だった。
昨日とは違う店の紙袋を下げ、颯爽と歩いていた。
タイトなスキニーに押し込まれた形の良い尻が、歩くたび左右に振られる。
上に羽織ったボンバージャケットは、昔趙が着古したものだ。
いつまでも自分のお下がりを見に纏う明菜がいじらしかった。
「っ...」
声をかけようとして思い留まる。
自分は一体何がしたいと言うのか。
居場所を明菜に教えればこうして甲斐甲斐しく会いに来るのはわかっていた。
ならば何故のらりくらりと交わすような対応ばかりしてしまうのか。
そんなことをするくらいなら、始めから連絡なんてすべきではなかった。
「...もう一周散歩でもするぅ?」
自分に問いかけるように呟き、趙は反対方向へと歩き出した。
「我本來想和你說話的」
ただ明菜と話がしたい。
黙って俺の話を聞きながら、刻々と相槌を打つお前の顔を見ていたい。
それが自分の本音だとわかっていながら。
春日くんに指摘されなくても、半端なことをしたと分かっていた。
「つい構いたくなっちゃうんだもーん」
そこに誰がいる訳でもなく、独りごちた。
見慣れた中華街の近くには今は寄れない。
あまり関わることのなかった日本人街をあてもなく歩く。
あいつ、少し痩せたかなぁ。
オッパイ減ってなきゃいいけど。
そんなことを思い、一人笑った。
やつれさせた原因は自分に他ならなく、触れることさえなかった女を思う。
触れないくらいあいつが大事?
何を今更...
ずっと明菜を避け続けてきたのは趙の自身だった。
彼女からの恋心にはとうの昔に気付いている。
触れようと思えばいつでもそうできる距離に明菜はいた。
けれ敢えてそうしなかった。
目の前で他の女を抱き、傷つけたことさえある。
在日マフィアのコミュニティ内で、彼女の居場所が自分の側にしかなかったことを趙はよく知っていた。
ただ自分一人が彼女の味方であるから、それだけの理由が明菜に恋心に似た感情を生ませたのかも知れない。
それにあの子はカタギの娘だ。
ここにしか居場所のない人間とは違う。
外に出ればあっという間に自分よりもっと良い男に出会うかも知れない。
もっといい男との、もっといい暮らしが待っているに違いない。
もとい、もう自分には権力も財力も残っていないのだから。
そんなことを考えながら当てもなく彷徨っていると、気付けば寝屋の近くまで来ていた。
今の生活は悪くないと思う。
住まいは質素になったし、あれだけの男が密集すればとにかく狭い。
以前とは全く毛色の違う仲間達。
けれど不思議と居心地は悪くなかった。
仲間達、だって。
自分で思い、むず痒くなる。
俺って春日くんのこと、結構気に入ってるんだよな
帰ろうかと歩みを確かにした時、先を歩く女の姿が目に映った。
明菜だった。
昨日とは違う店の紙袋を下げ、颯爽と歩いていた。
タイトなスキニーに押し込まれた形の良い尻が、歩くたび左右に振られる。
上に羽織ったボンバージャケットは、昔趙が着古したものだ。
いつまでも自分のお下がりを見に纏う明菜がいじらしかった。
「っ...」
声をかけようとして思い留まる。
自分は一体何がしたいと言うのか。
居場所を明菜に教えればこうして甲斐甲斐しく会いに来るのはわかっていた。
ならば何故のらりくらりと交わすような対応ばかりしてしまうのか。
そんなことをするくらいなら、始めから連絡なんてすべきではなかった。
「...もう一周散歩でもするぅ?」
自分に問いかけるように呟き、趙は反対方向へと歩き出した。
「我本來想和你說話的」
ただ明菜と話がしたい。
黙って俺の話を聞きながら、刻々と相槌を打つお前の顔を見ていたい。
それが自分の本音だとわかっていながら。