あなた...小さなレストランの若きオーナー
交差点
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ドサッ
真島組事務所に置かれたソファに、体を投げるように座り込んだ。
その勢いにスプリングが軋む音がする。
「こない暴れたんは久しぶりやで」
ヒヒヒと笑い煙草に火を付ける。
そういや昨日GRAND出てから
吸うてなかったなぁ
ブラインドから挿す光が朝を知らせる。
昨夜は事務所からの着信のあと、そのまま本部により、気付けば血を見る戦いの最前線にいた。
バット越しに伝わる頭蓋骨が折れる感触を、未だに掌が覚えている。
ほんま思い出すだけでゾクゾクするわ
やり切った満足感に駆られ目を瞑る。
けれどその途端思い出すのは、血飛沫ではなく柚葵の顔だった。
頬を赤らめ潤んだ眼差しでこちらを見る女に、
先程まで狂気に踊っていた自分の姿を受け入れることができるだろうか。
決して交わることのなかった二本の線が、何を間違えたのか交錯してしまった。
真島にとってそれは渡る信号をどこかで間違えたような印象だった。
間違えたんはわしか、柚葵か
いや、どっちもやな
渡る時は慎重にならなあかん
右見て左見てって習ったやろ
柄にもなくそんなことを思う自分が可笑しかった。
後先考える狂犬など、もはや忠犬でしかない。
ローテーブルに足を投げ出し、天井を仰いだ。
もしあの時唇を重ねていたら...
この町で一番狂っとるんはこのわしや
この生き方に柚葵を巻き込むのはちゃうやろ
重なってしまった二つの線をなかったことにはできない。
けれど後戻りすることも、塗り潰して見えなくすることもまだできる。
あん時と一緒や。
わしが消えればそのうち互いに忘れるやろ。
自身が若かりし頃の、たった一時の、
けれど大きかった出来事を思い出す。
一人の女を命がけで守り抜き、そして目の前から去ったのだ。
それを思えば我慢も覚悟も人一倍できるはずだった。
派手柄の上着を脱いで床に放り、
真島はソファに全身を横たえる。
次目が覚めた時、頭の中から柚葵の存在が
消えていればいい。
そう思いながら目を瞑った。
真島組事務所に置かれたソファに、体を投げるように座り込んだ。
その勢いにスプリングが軋む音がする。
「こない暴れたんは久しぶりやで」
ヒヒヒと笑い煙草に火を付ける。
そういや昨日GRAND出てから
吸うてなかったなぁ
ブラインドから挿す光が朝を知らせる。
昨夜は事務所からの着信のあと、そのまま本部により、気付けば血を見る戦いの最前線にいた。
バット越しに伝わる頭蓋骨が折れる感触を、未だに掌が覚えている。
ほんま思い出すだけでゾクゾクするわ
やり切った満足感に駆られ目を瞑る。
けれどその途端思い出すのは、血飛沫ではなく柚葵の顔だった。
頬を赤らめ潤んだ眼差しでこちらを見る女に、
先程まで狂気に踊っていた自分の姿を受け入れることができるだろうか。
決して交わることのなかった二本の線が、何を間違えたのか交錯してしまった。
真島にとってそれは渡る信号をどこかで間違えたような印象だった。
間違えたんはわしか、柚葵か
いや、どっちもやな
渡る時は慎重にならなあかん
右見て左見てって習ったやろ
柄にもなくそんなことを思う自分が可笑しかった。
後先考える狂犬など、もはや忠犬でしかない。
ローテーブルに足を投げ出し、天井を仰いだ。
もしあの時唇を重ねていたら...
この町で一番狂っとるんはこのわしや
この生き方に柚葵を巻き込むのはちゃうやろ
重なってしまった二つの線をなかったことにはできない。
けれど後戻りすることも、塗り潰して見えなくすることもまだできる。
あん時と一緒や。
わしが消えればそのうち互いに忘れるやろ。
自身が若かりし頃の、たった一時の、
けれど大きかった出来事を思い出す。
一人の女を命がけで守り抜き、そして目の前から去ったのだ。
それを思えば我慢も覚悟も人一倍できるはずだった。
派手柄の上着を脱いで床に放り、
真島はソファに全身を横たえる。
次目が覚めた時、頭の中から柚葵の存在が
消えていればいい。
そう思いながら目を瞑った。