あなた...小さなレストランの若きオーナー
揺れる思い
空欄の場合は"柚葵"になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「真島さん!」
後ろから呼び止められ、振り返る。
そこにはコック服のままの柚葵が息を切らせて立っていた。
「そない走ってどないしてん」
驚く真島に柚葵は「追いついて良かった」と言いながら寄ってきて、
見覚えのある煙草を差し出す。
「これ、まだ入ってるみたいだったから」
笑顔で差し出されたそれを見ると真島は「こんなん」と呟いた。
「こんなん、わざわざ届けてくれんでもまた買うたらええだけや」
「でも…」
と柚葵は困ったように笑う。
「お店で吸うの我慢して下さったから、すぐに吸いたくなると思って」
「…ほんま、悪い子やなぁ」
思わず真島は煙草を差し出す柚葵の右手ごと握った。
その手には水商売の女のような綺麗なネイルは施されていない。
水仕事をしている人間特有の赤切れや傷もある。
その手を真島は大切なもののように撫でた。
「あ…の、真島…さん?」
「こんなちっさい手であない美味い飯、ようぎょうさん作れるなぁ」
「よぉ働くええ手や」と言って真島は笑う。
いつまでも離されない右手に柚葵は戸惑っているようだった。
「また…食べに来てくれますか?」
戸惑いがちな柚葵の言葉に、真島は手を離した。
「…あかんて」
「私が真島さんの食べる顔を見たいだけなんです」
拒絶の意味を勘違いしたのか、柚葵が悲しげな顔をして言う。
そういう意味やないんやで
真島は心の中でそう呟くが柚葵は止めようとしない。
「今日もらったお金だって多すぎます!
お客さんとしてじゃなくてもいいんです。営業時間外なら誰の目もないですし。
この間のお礼だって…。だからたまに私にごちそうさせてください」
「迷惑ですか?」と寂しそうに笑う柚葵から真島は目が離せなかった。
ほんまにフツーの子や。今までの派手な女とはどれも違う。
この世界のこと、なんも知らんフツーの子やで
自分にそう何度言い聞かせても、ふつふつと湧き上がる感情を押し込めることはできなかった。
「柚葵」
思わず呼び捨てで名を呼ぶ。
それは真島にとって、一つの線を越えるサインかも知れなかった。
「…はい」
唐突に名を呼ばれて柚葵が真島を見つめる。
真島が長身な為、それは自然と上目遣いになった。
街灯に照らされた女の瞳はキラキラと輝いて見えた。
「そんなら、それは次回行く時まで取っといてや。
店ん中、禁煙やないんやろ」
頭をポンポンと撫でると踵を返した。
このままやったらこんな街ん中で、おもっきし抱きしめるとこやったわ
事務所までの道のりを歩きながら真島は自嘲する。
ほんまに、これはあかんで自分
後ろから呼び止められ、振り返る。
そこにはコック服のままの柚葵が息を切らせて立っていた。
「そない走ってどないしてん」
驚く真島に柚葵は「追いついて良かった」と言いながら寄ってきて、
見覚えのある煙草を差し出す。
「これ、まだ入ってるみたいだったから」
笑顔で差し出されたそれを見ると真島は「こんなん」と呟いた。
「こんなん、わざわざ届けてくれんでもまた買うたらええだけや」
「でも…」
と柚葵は困ったように笑う。
「お店で吸うの我慢して下さったから、すぐに吸いたくなると思って」
「…ほんま、悪い子やなぁ」
思わず真島は煙草を差し出す柚葵の右手ごと握った。
その手には水商売の女のような綺麗なネイルは施されていない。
水仕事をしている人間特有の赤切れや傷もある。
その手を真島は大切なもののように撫でた。
「あ…の、真島…さん?」
「こんなちっさい手であない美味い飯、ようぎょうさん作れるなぁ」
「よぉ働くええ手や」と言って真島は笑う。
いつまでも離されない右手に柚葵は戸惑っているようだった。
「また…食べに来てくれますか?」
戸惑いがちな柚葵の言葉に、真島は手を離した。
「…あかんて」
「私が真島さんの食べる顔を見たいだけなんです」
拒絶の意味を勘違いしたのか、柚葵が悲しげな顔をして言う。
そういう意味やないんやで
真島は心の中でそう呟くが柚葵は止めようとしない。
「今日もらったお金だって多すぎます!
お客さんとしてじゃなくてもいいんです。営業時間外なら誰の目もないですし。
この間のお礼だって…。だからたまに私にごちそうさせてください」
「迷惑ですか?」と寂しそうに笑う柚葵から真島は目が離せなかった。
ほんまにフツーの子や。今までの派手な女とはどれも違う。
この世界のこと、なんも知らんフツーの子やで
自分にそう何度言い聞かせても、ふつふつと湧き上がる感情を押し込めることはできなかった。
「柚葵」
思わず呼び捨てで名を呼ぶ。
それは真島にとって、一つの線を越えるサインかも知れなかった。
「…はい」
唐突に名を呼ばれて柚葵が真島を見つめる。
真島が長身な為、それは自然と上目遣いになった。
街灯に照らされた女の瞳はキラキラと輝いて見えた。
「そんなら、それは次回行く時まで取っといてや。
店ん中、禁煙やないんやろ」
頭をポンポンと撫でると踵を返した。
このままやったらこんな街ん中で、おもっきし抱きしめるとこやったわ
事務所までの道のりを歩きながら真島は自嘲する。
ほんまに、これはあかんで自分