私を知らない君
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「結局ダメか……」
あれから実家に帰って、普通に過ごし、翌日の朝を迎えても元の世界には戻れなかった。
まあ、結局元の世界に戻っても同棲中の恋人と破局寸前なのは変わらないのだけれど。
この世界でやることと言えば、過去の自分と同じように学校に通い、総北高校二年生をやるだけだ。大人だったせいか、メイクをしないで外に出ることに抵抗があって、何となく薄化粧をしてきてしまった。
総北の校則はそれほど厳しい思い出もないし、大丈夫だろう。純ちゃんの先輩にもタマムシ色のロングヘアーの人いたし。
今日は始業式だったので、2年生からのクラス替えの発表がある。私はクラス発表のボードを見て、自分の教室へと入った。
「おはよう!」
突然、後ろから声をかけられて振り返ると、そこには純ちゃんがいた。
「やっぱり、昨日の!」
「あ、お、おはよう……」
「同じクラスだったんだな。家に帰ってから平気だった?痛いところとかなかったか?」
「あ、うん。特には…。」
「良かった。急に帰るから、どこか痛いのかと思ったよ。」
「お母さんから早く帰ってきなさいって、連絡来てて…」
「そっか、昨日は引き止めちゃってごめんな〜」
「いやいや、私こそ!助けてもらったのに、そそくさ帰ってごめんなさい。」
出席番号順なので、特に隣の席とかでは無いのだが、純ちゃんは私の隣の空いている席に座って話しかけてくる。
純ちゃんと高校の時に付き合ってたらこんな感じだったのかな〜。なんて考えて、ちょっと嬉しくなったけど、浮気疑惑を思い出して私の胸はまたちくんと痛んだ。
「そうだ、昨日名前聞きそびれてた!」
「あ……」
名前を聞こうと返事を待つ彼に少し寂しさを感じる。一緒に住んでたのに、名前さえ分からない関係に戻ってしまうなんて。
「私は、真壁 優奏って言います。」
「真壁さん、よろしくな!」
「じゅ……、手嶋くん、こちらこそよろしくね。」
純ちゃんと言いそうになり、慌てて言い直す。
お互い苗字呼び、なんだか新鮮だ。
「そういえば、昨日、泣きながら純ちゃんてーーー」
純ちゃんが私になにか聞こうとしたとき、ちょうどチャイムが鳴って、みんなそれぞれ自分の席へ戻っていく。純ちゃんもそれは例外じゃなくて、またあとで!と席に戻ってしまった。