短編
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「 どうやったらそんな形になんねん… 」
『 えー…結構頑張ったのに…おかしい?』
「 丸くないやん四角やん…逆にすごいで 」
南くんが、学校帰りに私をお好み焼き屋さんに連れてってくれた。
今年の4月、豊玉に転校してきた私は、バスケ部の練習を見てすごく衝撃を受けた。
それから毎日部活を見に行くようになって、南くんと話すようになった。
密かに、恋心を秘めて…
「 夏、終わったな 」
『 そうだね… 』
まだ全然暑いけど、南くんの言っている夏はインターハイのことだと分かっているから、私はそれ以上何も言わなかった。
「 結子、焦げるで 」
『 え、あ、わ… 』
「 っははっ、何やその黒さ 」
南くんが笑って、私も笑った。
うん、南くんの笑った顔、すごい好きだなぁ…
『 もったいない… 』
「 俺の分焼いて食うか?」
『 え、それだと南くんが食べれないじゃん 』
「 今日は結子のための日やろ 」
『 …南くん本当王子様だね… 』
「 惚れてもええで 」
『 ………ん?』
何も気にしてないのか、南くんはコップに入った氷を噛み砕いて食べている。
なんか、私だけドキドキさせられてるじゃん…!
『 南くん、』
「 んー 」
『 私、お好み焼き作るの…上手くなるかな?』
「 まあ結子は料理下手そうやから、最低でも多分5年かかるで 」
『 ふぅん… 』
「 …何や、否定せえへんのか?5年もかかるわけないやろー、て 」
『 じゃあ食べて、』
「 あ?」
『 5年したら、私のお好み焼き食べてよ 』
「 5年て…俺らもう社会じ… 」
「 ……!?」
『 会いに来てよ、その時… 』
「 ……アホやなお前…そんな下手な告白どこにあんねん 」
『 だってしたことないし… 』
「 そんで急やな 」
『 惚れてもいいって言ったじゃん 』
「 別に5年後じゃなくてええのに 」
「 1年後でも30年後でも、ずっと一緒やろ?」
『 ……南くん、告白慣れすぎ… 』
「 てか、何で今頃言うねん 」
『 インターハイまでは、やめとこうと思って 』
「 邪魔になるやろうな、って?」
『 うん 』
「 ほんまにアホやな 」
『 何でよ 』
「 もっと早う言ってくれとったら、インターハイ良い結果だったかもしれへんのにな 」
『 ………わ、私のせい?』
「 冗談に決まっとるやろ 」
そう言って笑うと、南くんは向かいの席から私の隣に来た。
『 なんか、恥ずかしいね 』
「 今客おらんで 」
う…そういうことじゃないんだけどな…
『 もう1個のお好み焼きも、焦げちゃうよ 』
「 また来ればええやん 」
南くんの顔が近付いてきた。
そっと目を閉じると、
お好み焼きの焼ける音が鮮明に聞こえる気がした。
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