2.あの人との過去
あなたのお名前
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気付けば5月になる前に、マネージャーは結子ちゃんだけになっていた。
この前、部活が終わってみんなが着替えをしていた時のこと。
「 結子、ほんと出来るヤツだよな 」
「 あぁ、マネージャーで残るくらいだしな 」
魚住さんたちが、結子ちゃんの話をしていた。
結子ちゃんが褒められてるのを聞くと、悪い気はしない。
むしろ嬉しいし。
でも、かっこいいヤツが結子ちゃんのことを話している時は、少し焦る。
この前は廊下で聞いた。
「 バスケ部のマネで可愛い子いるって 」
「 まじで?」
「 確か名前が… 」
「 蒼井結子 」
その時一瞬足が止まった。
こんなにも自分が、余裕の無い男だとは思わなかった。
「 ……!」
「 ……くんや!!……!」
彦一の大声で我に返る。見ると、何やら結子ちゃんは彦一を見つめて、ひどく驚いた顔をしていた。
結子ちゃんは、しばらくその場で立ち尽くしていた。
…倒れてしまわないだろうか。
ハラハラしながら見つめていたら、
結子ちゃんが床に座り込んだ。
……俺たちはあの日から気まずい空気だった。
でも今はそれどころじゃない。
「 …結子ちゃん、大丈夫?」
結子ちゃんは俺を見つめて、何か言いたげな表情だった。
「 …今日、一緒に帰ろうか。」
はい、と言った結子ちゃんのその声が、いつもよりも何故か特別なもののように感じた。