溺愛しゅかゆづ夫婦 6
ふと気づく。
僕はもう、睡眠導入剤を飲んでいない。
そんなものに頼らずとも眠れるようになったのだ。
「弓弦、そろそろ寝ましょうか」
「うん」
大好きな貴方のおかげで。
龍の姿の朱夏から、はらり、薔薇の花びらみたいに美しい鱗が落ちてきて、彼はそれを「貴女への愛ですよ」なんて。さらりと気はずかしいことを言う。
弓弦は、そっと愛をつげる。朱夏、貴方が好き。真っ赤な薔薇の花びらを、優しくひと吹きするように。
たとえば貴女は俺がいなければ、夜ごと悪夢に目覚めるでしょう。俺がいないと眠れない、それでいいんです。
ねえ朱夏、僕はもう貴方がいないと、きっと目覚めるたびにだめになる。けれど貴方がこんな僕を「大丈夫」と許してくれるから。受けいれてくれるから。
8/30ページ