溺愛しゅかゆづ夫婦 6
乱雑した悪夢の中で、きらきら、朱色にひかる龍の鱗を見た。胸にいだき、「ああ」と息をつく。起きなくては。朱夏が僕をゆり起こしてくれている。
ねぼけた意識、はっと起きる貴女の泣きそうな顔。だいじょうふですよと腕をのばす。貴女を抱きしめると、俺の胸に、あまえるように身をゆだねてくれて。
他人の前で弁当を開きたくないと思う。貴女の作ってくれるお弁当が、あまりに愛おしく美味しいからだ。
貴女を想っていると、あっという間に時が過ぎる。さあ帰って、貴女をめいっぱい抱きしめましょう。
貴女を愛するのだと誓ったあの日から、俺の世界はつねに貴女のために煌めいて見える。
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