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溺愛しゅかゆづ夫婦 5

 季節の変わり目。それは、なぜか風邪を連れてくる。ぐったりベッドに沈む弓弦は、自分を呪わずにいられなかった。気をつけているのに、いつもこう。

「弓弦」

 熱が出て苦しくて。こんな自分を、朱夏は甲斐甲斐しく看病してくれる。嫌な顔ひとつせず。申し訳なく思う一方で、彼が手をつないでくれるから、耐えられる。
 朱夏に愛されることを知った弓弦は、もう、当たり前だった孤独に戻れない。


 そんな弓弦を朱夏が知れば、彼は優しく微笑んで、

「戻れなくていいんですよ、戻すつもりもありません」

 と、惜しみない愛情を弓弦へと注ぐのだろう。


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