溺愛しゅかゆづ夫婦 5
ぼんやり物思いにふけり、唇を噛んだりうす皮を剥いだり、僕の無意識のわるい癖を、貴方のキスが諌める。
唇を噛む、ささくれを剥ぐ、それらは彼女の悪癖だ。そんな時、俺は彼女にキスをして、めっですよとしてやる。
ねむりまどろむ龍の赤い髪を彼女の真雪のような細い指がゆるりと梳かす、ささやかで大切な幸せを。
貴方が作ってくれるはちみつホットミルクをよりいっそう美味しく際立たせる季節、秋色。
のびのびごろごろな朱夏と弓弦を眠りに誘う秋雨音、ふわりと緩やかなふたりの空間。
大好きな貴方の瞳色のリボンで三つ編みを結んだら、ただそれだけでふわふわ躍る僕の心。
弓弦は本を読み、朱夏はテレビを見る、会話がなくともただよう、甘い空気。
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