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溺愛しゅかゆづ夫婦 5

 消えてしまった貴方は、もう僕の名前を呼んでくれないし、捜しさまよう腕を導いてはくれない。

 そんな夢。ああ、ああ、息が苦しい。朱夏、と思わず大きな声がこぼれた。いなくならないで。

「弓弦」と。こたえてくれる声があった。僕の頬に触れ、なぐさめるように撫で、大丈夫ですよ、と。

 僕はきっと貴方が抱きしめてくれるまえに、すがりつくみたいに貴方に抱きついて、現実を確かめて。

 ああ、よかった、貴方がいる。貴方はいるんだ、ちゃんとここに。こみ上げてくる涙は、安堵。


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