溺愛しゅかゆづ夫婦 5
夜遅く、弓弦と一緒にベッドでごろごろしながら、ふいに俺たちの初デートの話になった。
「あの時の貴女は警戒心の強い野良猫みたいでしたねえ」
「猫に失礼なんじゃない」
手をつなぐどころか、指先ひとつ触れられなかった。その頃の弓弦は、とにかく笑わないひとだった。
「ふふ、朱夏、いたいよ」
「あ。すみません」
あのときの弓弦も愛おしかった。俺はとうに弓弦に惚れ込んでいた。
でも、今。その弓弦と『そんなこともあった』と笑い合い、こうして手を重ね合わせられることの、とろけるような幸せは、
「弓弦、大好きです」
「うん。僕もすき」
そんな思い出も昨日のことのように色鮮やかだから、よりいっそうまばゆく輝いているのだろう。
「あの時の貴女は警戒心の強い野良猫みたいでしたねえ」
「猫に失礼なんじゃない」
手をつなぐどころか、指先ひとつ触れられなかった。その頃の弓弦は、とにかく笑わないひとだった。
「ふふ、朱夏、いたいよ」
「あ。すみません」
あのときの弓弦も愛おしかった。俺はとうに弓弦に惚れ込んでいた。
でも、今。その弓弦と『そんなこともあった』と笑い合い、こうして手を重ね合わせられることの、とろけるような幸せは、
「弓弦、大好きです」
「うん。僕もすき」
そんな思い出も昨日のことのように色鮮やかだから、よりいっそうまばゆく輝いているのだろう。
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