溺愛しゅかゆづ夫婦 5
喘息を抑えるかわりの、ちいさな手のふるえを
脱力感のひどい僕の両腕を
ねえ朱夏、どうか、離さないでいて。
◆
喘息のための薬を使い、ベッドに横たわる弓弦の
淡白でうす細い手が、かたりかたりと震えている。
弱々しい「離さないで」に、心臓が潰されそうだ。
もちろん、離すわけないでしょう。いっときも。
ねえ弓弦。もっと俺にできることはありませんか。
水は飲めますか。……ああ、水、
どうやって飲ませて差し上げたらいいでしょうか。
いえ、わかる、はずなんです。
ただ、頭がぐるぐるして、
「しゅか、……きす」
して。と――
望まれて、はっと我に返る。
冷水を浴びたみたいに、思考が冴えわたる。
ああ俺。貴女が心配すぎて。でも、そうですよね。
水をくちに。貴女に、そうっとくちづけて。
こくん、とうごく細い首に、ひとまずほっとする。
どうか、どうかはやく、具合良くなってください。
祈り、願い、つないだ手に力を込める。
俺はずっと貴女の傍から離れませんから。
脱力感のひどい僕の両腕を
ねえ朱夏、どうか、離さないでいて。
◆
喘息のための薬を使い、ベッドに横たわる弓弦の
淡白でうす細い手が、かたりかたりと震えている。
弱々しい「離さないで」に、心臓が潰されそうだ。
もちろん、離すわけないでしょう。いっときも。
ねえ弓弦。もっと俺にできることはありませんか。
水は飲めますか。……ああ、水、
どうやって飲ませて差し上げたらいいでしょうか。
いえ、わかる、はずなんです。
ただ、頭がぐるぐるして、
「しゅか、……きす」
して。と――
望まれて、はっと我に返る。
冷水を浴びたみたいに、思考が冴えわたる。
ああ俺。貴女が心配すぎて。でも、そうですよね。
水をくちに。貴女に、そうっとくちづけて。
こくん、とうごく細い首に、ひとまずほっとする。
どうか、どうかはやく、具合良くなってください。
祈り、願い、つないだ手に力を込める。
俺はずっと貴女の傍から離れませんから。
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