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溺愛しゅかゆづ夫婦 4

 戸惑いも恥じらいもとにかく捨てて、なかばやけくそにやってやればいいのだ。
 似合う似合わないなんて知らない、僕はうさぎだから。そう、僕はうさぎなのだから。

「朱夏おかえり」
「弓弦、ただいま――」

 玄関先、帰ってきた朱夏に駆け寄る僕は、うさぎ耳カチューシャつき。
 きわどい服はどうしても着る勇気がなかったから、白いふわもこのワンピースで代用。
 ぽかんと目を丸くする朱夏へ、勢い任せに、

「ええと……おつかれさま、ぴょん?」

 そういえばうさぎの鳴き声を知らないな。
 相当恥ずかしいことをしている自覚を頭の隅に追いやり、朱夏の反応を伺っていたら。

「…………俺、」
「?」
「破裂するかもしれません」
「!?」
「貴女が愛おしすぎて……」

 額をおさえてぽそぽそ呟き、それから改めて僕を見る朱夏の目は、本気だ。
 そんな彼に思いっっきり抱きしめられる僕は、その愛おしい力強さにくらくらしながら、
 僕も一緒に破裂するのかな、どうせならそうがいいなと
 たぶん、結構とんちんかんなことを考えている。





 夕刻、キッチンに立つ貴女と
 貴女が動くたび、ぴょこぴょこゆれる白うさぎ耳。
 貴女の髪色はやわらかいベージュ。
 だからでしょうか、連想は、
 ふわり、と、あたたかいカフェラテ。
 後で作って差し上げましょうか
 今日も愛しい貴女のために。
 可愛らしい俺だけの白うさぎのために。


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