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溺愛しゅかゆづ夫婦 4

 朱夏はなんだかいたずらっぽく笑って、僕にその小瓶を見せた。
 星のひかりを詰め込んだような黄色ときらきらのマニキュア。
 腕の中の僕へ、「大人しくしていてください」なんて、ちょっぴり脅すようなふり。そういう戯れ。
 マニキュアの蓋をつまんで、その筆先をよどみなく操る朱夏。僕は、彼のきれいな指先ばかり、目で追いかける。

「……できました。ふふ、弓弦、これで貴女は俺だけのものです」
「なあに、なに見て影響されたの」
「先ほどの昼どろどろドラマで、ヤミカレ? が出てきたんです」

 ふうん、と相槌をうつ僕は、朱夏によって優しく丁寧に彩られた爪を見る。
 あざやかな黄色。朱夏の瞳のような。きらきらと煌めいて、星が鈴なる音を幻聴した。
 こんな僕の指先が、こんなにもきれい。
 それは間違いようもなく朱夏のおかげで、

(……もうとっくのとうに貴方だけのものだけど?)

 なにを今さら。でも嬉しい。
 朱夏の胸にそっとすり寄り、甘える僕の髪を、彼の手のひらがやんわりと撫でる。


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