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溺愛しゅかゆづ夫婦 4

 親戚も家族もいない僕たちに、お盆なんてきっと無縁だ。ただただ家でごろごろして、今日やることといえば、買い物くらいかなあ。
 なるべく暑くない夕方に、なるべく人のいない時間に。あとは、ぐうたら。ごろごろ。
 お休みの朱夏と身を寄せあって、たまに髪を撫でたりくすぐってみたり、わけもなく戯れながら。

「弓弦、お腹すいてませんか?」
「んー……うん」

 お昼は過ぎただろう。でもまだいいや。なんだか面倒で曖昧な返事を、朱夏は笑って受け止めてくれる。
 くすぐったいくらい愛おしそうに僕を見つめるから、ふと思う。僕たちにお盆だなんて関係ないけれど。
 僕たちふたりは家族だね、朱夏。貴方が旦那さまで、僕がお嫁さんで、僕にとっても貴方にとっても、はじめての家族。家庭。
 愛することも、愛されることも。

 改めて想い、胸が落ち着かなくなる。
 むずむずして、ふわふわして、あたたかいような、せつないような。不思議で目まぐるしいこれら、すべてまとめて幸せって呼ぶのかなあ。

「朱夏、ぎゅ」
「あはは、急ですね? ぎゅ、かわいいひと」

 ふわふわだらだら、貴方と抱きしめあって、無為な時間を過ごしながら。
 ああ、うん。やっぱり幸せだ。間違いない。


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