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溺愛しゅかゆづ夫婦 4

 ああ、……蝉の声。
 夏だなあ、いや夏ももう終わりに近いのかな、暑いけれどだいぶマシのような気はする、とにかく頭が痛い。
 ずきずきずき、痛むたびに、みんみんみん。蝉の声が響くのがつらくて、

「俺、ちょっくら蝉全滅させてきます。待っていて、……弓弦?」
「……だめ。朱夏」

 ベッドから離れようとする朱夏の服の袖をつかみ、ぐいと引く。

「どこにもいかないで」

 頭痛にさわる音よりも、貴方が離れてしまうことの方が、よっぽどつらい。
 あわててすぐ近くに戻ってきてくれ、「どこにもいきません」と、真面目で心配そうな顔。
 心配かけちゃって申し訳ない。
 でも、ありがとう、朱夏。貴方がいてくれる、それだけで、僕の気持ちは安らぐから。


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