溺愛しゅかゆづ夫婦 4
仕事中の朱夏の楽しみは昼にある。
弓弦手作りの愛妻弁当が食べられるからだ。
間違っても他の人間どもに『ちょっとくれ』などと言われたくもないので、他人の目の触れない快適な場所へそそくさと移動し、お楽しみを広げる。
いちご柄の布巾に弁当箱。弓弦の瞳の色を彷彿とさせ、気に入っている。その蓋をひらくと、色鮮やかで美しいおかずたちが、まるで飛び出る絵本のように。
誰がどう見ても真心のこもった、素晴らしい、朱夏のためだけのお弁当だ。
「ふは、弓弦。貴女は本当に愛おしいひとですね」
ぴしっと詰められた白米の上には、海苔。
しかも、ちょっぴりぎくしゃくなハートのかたち。
ハートがあるだけでもじゅうぶん愛おしいのに、そのぎくしゃくさがまた堪らない。
何故かって?
大好きな弓弦のことをよく知る朱夏は、この『ぎくしゃく』な理由がわかるからだ。
弓弦は手先が器用な方ではない。それなのに、少しでも朱夏を喜ばせようとしてくれる。
そして、彼女はとても照れ屋なので、ものすごく照れながら――あの可愛らしい顔を、かあっと真っ赤に染めながら、半ば『ええいやってしまえ!』という感じで、ハート海苔を作ったに違いないからだ。
「ありがとうございます、弓弦。いただきます」
想いをこめて、両手をあわせる。
おかずひとくち、白米ひとくち、驚くほどに美味い。弓弦の愛情がたっぷり授けられているからだろう。
朱夏は頬を緩ませ、愛妻弁当を味わいながら、食べ終わったらさっそく弓弦に電話をしようと考える。たくさんの感謝と称賛と愛情を伝えたい。
そうして、こんなにも弓弦に愛されているから、残りの面倒な仕事も頑張れる。もちろん彼女を愛している気持ちも負けやしないので、天上天下無敵に頑張れるわけだ。まったく大袈裟ではない。
朱夏を癒し、元気づけ、底なしに無敵にしていく弓弦の手作り弁当。とっても美味しいそれらが、体中、指先から頭のてっぺんまで、じんわりと染み渡っていく。
弓弦手作りの愛妻弁当が食べられるからだ。
間違っても他の人間どもに『ちょっとくれ』などと言われたくもないので、他人の目の触れない快適な場所へそそくさと移動し、お楽しみを広げる。
いちご柄の布巾に弁当箱。弓弦の瞳の色を彷彿とさせ、気に入っている。その蓋をひらくと、色鮮やかで美しいおかずたちが、まるで飛び出る絵本のように。
誰がどう見ても真心のこもった、素晴らしい、朱夏のためだけのお弁当だ。
「ふは、弓弦。貴女は本当に愛おしいひとですね」
ぴしっと詰められた白米の上には、海苔。
しかも、ちょっぴりぎくしゃくなハートのかたち。
ハートがあるだけでもじゅうぶん愛おしいのに、そのぎくしゃくさがまた堪らない。
何故かって?
大好きな弓弦のことをよく知る朱夏は、この『ぎくしゃく』な理由がわかるからだ。
弓弦は手先が器用な方ではない。それなのに、少しでも朱夏を喜ばせようとしてくれる。
そして、彼女はとても照れ屋なので、ものすごく照れながら――あの可愛らしい顔を、かあっと真っ赤に染めながら、半ば『ええいやってしまえ!』という感じで、ハート海苔を作ったに違いないからだ。
「ありがとうございます、弓弦。いただきます」
想いをこめて、両手をあわせる。
おかずひとくち、白米ひとくち、驚くほどに美味い。弓弦の愛情がたっぷり授けられているからだろう。
朱夏は頬を緩ませ、愛妻弁当を味わいながら、食べ終わったらさっそく弓弦に電話をしようと考える。たくさんの感謝と称賛と愛情を伝えたい。
そうして、こんなにも弓弦に愛されているから、残りの面倒な仕事も頑張れる。もちろん彼女を愛している気持ちも負けやしないので、天上天下無敵に頑張れるわけだ。まったく大袈裟ではない。
朱夏を癒し、元気づけ、底なしに無敵にしていく弓弦の手作り弁当。とっても美味しいそれらが、体中、指先から頭のてっぺんまで、じんわりと染み渡っていく。
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