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溺愛しゅかゆづ夫婦 4

 今日の晩ご飯はオムライス。
 そうと決まると、朱夏と弓弦は、仲良し溺愛夫婦・アーティストとなる。

 朱夏が作るチキンライスはとても艶やかで香ばしいし、新鮮な卵も絶妙な焼き加減。
 鮮やかな黄色の卵焼きが、毛布のようにふわっとチキンライスを包み込む。これを二人前。
 弓弦はそのオムライスにケチャップをかける。ゆるりと美しい線を描き、ぴったりブレないハートのかたち。
 ハートの中に『すき』と書き、赤面する弓弦の、なんて可愛らしいことだろう。

「弓弦、せっかくなんですから、貴女自身のオムにも何か描いてやってください」
「む……」

 先回りして言われ、弓弦は少し考えた。
 どうせなら龍がいいなと思い至ったが、どうも簡潔に龍を描けそうになかったので、かたちだけ似ているヘビを描いた。

「なぜヘビなんです?」

 こてんと首を傾げる朱夏を見上げ、弓弦はいたずらっぽく目を細めた。

「ないしょ」


 晩ご飯がテーブルに並べられていく。
 コーンスープとサラダ、それから例のオムライス。
 仲良し溺愛夫婦・アーティストの、至高の作品。ふたりで作った愛の結晶。
 ふたりは向かいあうようにそれぞれの椅子に座り、スプーンを手に取った。
 息ぴったりに声を重ねる。

「いただきます」

 これにより、愛情たっぷりオムライスの完成である。


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