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溺愛しゅかゆづ夫婦 4

 りんご飴をかじる。甘ったるくて、三口目には胸やけしてしまう。まだ、肝心のりんごに届いてもいないのに。

「弓弦、食べて差し上げます」
「……うん」

 僕が食べてとお願いする前に手を差し伸べてくれる朱夏は、とても豪快な食べっぷりで、すぐさまりんごにたどりついた。


 表面は赤、中身は黄色。朱夏の髪から瞳を連想させる果物。僕はそれがわりと好き。朱夏みたいだからってだけの理由で。
 ああでも。彼の甘ったるさは、りんご飴の比じゃないな。彼の僕への愛情は、けれど、僕の胸をやいたりはしない。

「弓弦」
「ん、……ん」

 ほら。りんご飴の味をも巻き込む口づけ。甘く甘くついばんで、「美味しいですか」なんて笑う。
 飴にはちみつをたっぷり垂らしたような甘々しさ。
 朱夏の溺愛は僕の胸をやかないかわりに、どきどきどくどく休む間もない、いとしい鼓動を憶えさせてくる。


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