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溺愛しゅかゆづ夫婦 3

 弓弦は、ひらひら。浴衣の袖を揺らめかせ
 薄赤と金箔と扇文。袖からのぞく真っ白で細い腕、
 それらが、美しい金魚のようにさえ見えた。
 綺麗で可憐で、かわいらしい彼女の手を
 けっして離してしまわぬように、
 喧騒や闇魔に連れ攫われてしまわぬように。

「朱夏、格好いいね」

 恋びとつなぎに頬を赤らめながら。
 彼女は、俺を見上げ、やんわりと目を細めた。
 ふふんそうでしょうと得意げにはなる
 貴女の選んでくれた浴衣が、この俺に相応しくないはずがありませんから。
 でも、先を越されてしまった。

「弓弦。貴女も、この世の何より一番きれいです」

 おおげさ、とむくれた様子の照れ隠し。
 まったくおおげさではないですよ、
 じゃあ、貴女がいかに素晴らしい、俺だけの花嫁なのかをもっと語りましょう。

「え……っと、ほら朱夏、あそこ、林檎飴があるよ」
「本当だ、買いましょう。でも弓弦、誤魔化せませんよ?」
「む……」

 今宵は貴女と、夏祭りデート。


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