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溺愛しゅかゆづ夫婦 3

 朱夏に優しく手を引かれて歩く。
 真っ赤な林檎飴、
 カラフルシュガーが鏤められたチョコバナナ、
 ピンク色の袋の中のわたあめ。

「弓弦、少し休みましょうか」

 貴方との夏祭りデート、屋台めぐり。
 慣れない浴衣と下駄で、ちょっと疲れたかなあって
 言い出す前に、どうしてか貴方に見透かされ、
 ひょいっと抱きかかえられながら
 橙色の通りを離れて、薄闇の中。

 階段のところで座る朱夏の膝の上。
 僕の特等席は外でも変わらないんだな、なんて。

「朱夏、楽しい?」
「ええ、もちろん。貴女と一緒ですから」

 人混みを離れたところから眺める、
 暗がりの中だからって、貴方の腕に身を委ねる。
 僕も朱夏も喧騒は好きじゃない、けれど
 でも、それなら良かった。
 僕も、この賑やかさは嫌いじゃないよ。
 貴方のおかげで。


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