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溺愛しゅかゆづ夫婦 3

 子どものころの記憶だったかな、
 やっと咲いた朝顔が
 その日のお昼にはしぼんでいた。
 たぶん陽射しの強い日で
 おひさまがまぶしかったんだね、と
 残念がれなかったことを
 なんとなく憶えている。

「弓弦、どうしたんですか?」
「……ん? ううん」

 貴方の膝の上で、腕の中
 僕だけの特等席。
 本を読む手をとめてぼうっとしていたら、
 心配かけてしまったのかな、
 ぎゅっと抱きしめてくれる腕がやさしくて。
 大丈夫だよ、と軽く振り向く僕は
 貴方の真っ赤にもえる髪、
 やわく細められる金の瞳、
 美しくまばゆい、夏のひざしの色だと思って
 あの日の朝顔の気持ちが解った。

「朱夏、すき」
「あはは、突然どうしたんですか、珍しいですね。
ありがとうございます。俺も貴女が大好きですよ」

 きらきら、笑う。嬉しそうにしてくれる。
 朱夏はこんなにもまばゆい龍だけど
 僕はついつい照れくさくて目を伏せてしまうけど
 僕の、彼への想いはしぼまずに、
 いつまでも艶やかに咲き誇るのだろう。
 貴方の愛を一身に浴びながら。


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