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溺愛しゅかゆづ夫婦 3

 弓弦のベージュ色の髪がしっとりと濡れていて、
 俺は水玉模様のタオルを広げ、彼女においでとする。
 ちいさく細い体がちょこんと俺の膝の上に座る。それが可愛らしい。
「自分でできるけど」と照れくさそうな声も、顔も、眼差しも。
 このひとは美しいと可愛いと愛おしいで構成されている。

 彼女の髪に触れるのが好きだ。
 お風呂上がりの濡れた髪を丁寧に乾かしてやるのも。

「面倒じゃないの、朱夏。髪なんて、僕ですらめんどくさいのに」

 ゆったり俺に身を委ねてくれている弓弦が、ぽつぽつ、そんなことを言う。
 ほんの少し心配そうに。そうですね、と言われることを、きっと恐れている。
 ですが、そんな不安は必要ないんですよ。

「ちっとも面倒じゃありません。俺は貴女の髪も大好きですから」

 心の底からわきあがる想いを、そのまま言葉にした。
 自然と笑みが浮かんだ。ふわふわ、心があたたかい。

「……そう」

 あ、弓弦の耳、まっかっかだ。
 美味しそうだなあ可愛いなあと、気づけば唇を寄せていて。

 かぷ。


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