透明でぷるぷるの水まんじゅう。
　黒みつをかけて、きな粉をかけて、それらが絶妙にミスマッチで、なんだろうと思う。
　そういうもの。
　竹っぽいお洒落な菓子楊枝で、ぷつんと、溢れてしまうのかと思うのに、
　それはぷるぷる震えながら、かろうじてかたちを保っている。

　朱夏に、あーんって、してあげたいけれど。
　ちょっと難しいのかな、と寂しくなる。それも、つかの間。

「弓弦、俺にもわけてください」

　言いながら、彼は、僕にキスをする。
　水まんじゅうをひとくち食べたばかりの僕のくちびるに。
　それから、僕の頬を撫でつつ、

「美味しいですね。もっとください」

　……もうとっくに水まんじゅうの味はしないだろう。
　貴方、そもそも水まんじゅうの話、してないんじゃないの。
　僕のささやかな照れ隠しの文句は、朱夏とのキスに消えていく。