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溺愛しゅかゆづ夫婦編 2 (NL)

 のんびりとした休日の朝。朱夏とふたりでソファにくつろぎ、テレビを見ていたら、今日は海の日だそう。

「弓弦、ちょっくら海行きます?」

 青い海に白い砂浜。テレビ越しの風景。
 僕の肩を抱き寄せつつ微笑む朱夏は、ちょっとコンビニ行きます? くらいの軽い物言いだ。
 僕たちの住む場所はたくさんの山々に囲まれていて、海はない。海を見るには遠出しなければいけないわけで。
 でもそりゃあまあ、龍神さまな朱夏にかかれば、簡単なことなのだろうけれど。

「うーん……。また今度」

 朱夏となら、どこでも行けると思う。
 でも僕は首を横に振り、朱夏を見上げ、僕の髪を撫でる彼の手のひらに、そっと頬をあずけてみせた。

「今日は家でごろごろしていたい。貴方とずっと一緒に」

 海よりも、砂浜よりも、よっぽど。
 休日の貴方をなにからも独占して、のんびりだらだら、存分に貴方と寝転がっていたい。

「ふっ、あはは。本当に貴女って、世界でいちばん可愛いひとですねえ」
「……おおげさ」
「いいえ、事実です。弓弦」

 ぷつり。テレビがオフにされ、海も砂浜ももう映らない。
 とってもご機嫌そうな朱夏と見つめあいっこしながら考えてみる。
 抱きしめるのと、キスをするの。
 最初はどっちからかな。どっちから仕掛けたら、先手がとれるかな。
 なんて。


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