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溺愛しゅかゆづ夫婦編 2 (NL)

 雨の音を聴きながら、うとうとしてしまって

「そんなところで寝ていたら風邪引きますよ」

 弓弦、とそっと僕を呼ぶ。
 そんな声に瞼をひらくと
 僕を覗き込む金色の瞳がそこにあって
 目が合ったとたん、それは緩やかに細められて
 寝ぼけ眼が、ぼやけた頭が、さめた胸の中が
 どこもかしこも、ぽかぽかと暖かくなる。
 天井からの照明を受けて輝く赤い髪すらも、
 晴れ空から放たれるまぶしいひかりの糸束みたいで
 ああ、この龍は、ほんとうにきれいで格好いい。

「朱夏」
「あはは、だっこですか?」

 こんな美しいものが、こんなにも僕を甘やかして
 両手を広げてみたら、すかさず抱きしめてくれて
「寝室に行きましょうね」と言葉、浮遊感、
 寝ぼけたふりして彼にぎゅっと抱きついて、
 そうだ僕、ソファで寝てしまっていたんだ、なんて
 今さら。


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