溺愛しゅかゆづ夫婦編 2 (NL)
昨晩の魔法の続きのように、
ざあざあと雨の降る朝だったけれど
昨晩の魔法なんてもう無いのだから、
朝ごはんを作って、支度する貴方を手伝って
行ってらっしゃい、気をつけてねって、貴方を見送らなくちゃ。
それがひどく寂しい僕は、すっかり貴方の魔法に甘やかされて
貴方が行くのは僕のためなのに、僕がこんなんじゃ駄目なのに。
「ん、ゆづる、起きているんですか。おはようございます」
目覚めた貴方が僕を抱きしめる。
思わずびくっとしてしまった僕に、訝しげに首を傾げて、
「どうしたんですか?」
いや、なにも。なんて、どうせすぐにバレてしまうから
そのかわり、僕は、早くちで言う。
今すぐご飯をつくるから、ちょっと待ってて。
ぎゅうっと切なくなる胸のなかを咎め、
立ち上がろうとする僕を、朱夏はやんわり制した。
「お腹、すいているんですか?」
「僕はまだ。でも、貴方は支度しないと」
「したく? ……ああ、あはは、ねえ弓弦」
今日は土曜日ですよ。
彼はきょとんとした顔を崩して笑い、
今度は僕がきょとんとして固まる。
――じわじわ、からん、グラスの中の氷が溶けて音を鳴らすかのように
やがて我にかえった僕は、あわてて毛布と彼の胸の中に隠れた。
どうしよう、すごく恥ずかしい。
……でも。じゃあ、今日も貴方と一日中、一緒にいられるの?
「かわいいですね、弓弦」
「……うるさい」
……うれしい。
彼のきれいな指が、僕の髪をゆるりと梳く。
昨晩の魔法は、まだ、続いているらしい。
酒涙雨も、ざあざあ、降りつづけている。
ざあざあと雨の降る朝だったけれど
昨晩の魔法なんてもう無いのだから、
朝ごはんを作って、支度する貴方を手伝って
行ってらっしゃい、気をつけてねって、貴方を見送らなくちゃ。
それがひどく寂しい僕は、すっかり貴方の魔法に甘やかされて
貴方が行くのは僕のためなのに、僕がこんなんじゃ駄目なのに。
「ん、ゆづる、起きているんですか。おはようございます」
目覚めた貴方が僕を抱きしめる。
思わずびくっとしてしまった僕に、訝しげに首を傾げて、
「どうしたんですか?」
いや、なにも。なんて、どうせすぐにバレてしまうから
そのかわり、僕は、早くちで言う。
今すぐご飯をつくるから、ちょっと待ってて。
ぎゅうっと切なくなる胸のなかを咎め、
立ち上がろうとする僕を、朱夏はやんわり制した。
「お腹、すいているんですか?」
「僕はまだ。でも、貴方は支度しないと」
「したく? ……ああ、あはは、ねえ弓弦」
今日は土曜日ですよ。
彼はきょとんとした顔を崩して笑い、
今度は僕がきょとんとして固まる。
――じわじわ、からん、グラスの中の氷が溶けて音を鳴らすかのように
やがて我にかえった僕は、あわてて毛布と彼の胸の中に隠れた。
どうしよう、すごく恥ずかしい。
……でも。じゃあ、今日も貴方と一日中、一緒にいられるの?
「かわいいですね、弓弦」
「……うるさい」
……うれしい。
彼のきれいな指が、僕の髪をゆるりと梳く。
昨晩の魔法は、まだ、続いているらしい。
酒涙雨も、ざあざあ、降りつづけている。
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