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溺愛しゅかゆづ夫婦編 2 (NL)

 夜中、僕がベッドに寝転んで本を読むとき、
 朱夏は僕の隣に横たわり、いたずらに僕の髪を撫でながら
 真っ赤な髪に立派な龍の枝角をはやし、その先端をひからせて、僕のあかりとしてくれる。

 ほんのりと目に優しいひかりを、ああそう、蛍のひかりのようだと思って
 涼しい夜、ちいさな川が流れる音、宙をたゆたう蛍たち……今年も蛍祭り、あるのかなあ。
 騒がしいところは好きじゃないけれど、朱夏と屋台をまわりたい。ぴかぴか光る蛍を、きれいだねって、

「……それ、便利だね」

 朱夏の枝角のひかりだって、蛍みたいに、いやそれ以上にきれいなのに
 きれいって素直に言えない僕が、かわりの言葉で褒めることを、

「ふふ、そうでしょう。なかなか良いですよね、角。俺は貴女を撫でれるし、貴女の目も悪くなりませんし」

 彼はとっても素直に、とっても誇らしげに笑ってみせた。
 だから僕は、なんだか悔しいような気持ちになる。
 今日もこんなにこの龍に溺愛されて、気はずかしいし、嬉しいし。

「ずるい」
「? 弓弦、すみません、もう一度」
「やだ。内緒」

 聞こえなかったのは当たり前だ、聞こえないように呟いたんだから。
 僕はもう、ぱたんと本を閉じ、ため息まじりで
 朱夏の胸に飛び込むみたいに身を寄せたら、彼の体温と鼓動と香りに包まれながら瞼を閉じて。

 瞼の裏。ふわふわと残るひかり。
 ほのあおいひかりは枝角をつたって、彼の真っ赤な髪をも照らす。


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