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溺愛しゅかゆづ夫婦編 2 (NL)

 弓弦はいつもペンダントをつけている。
 俺がプレゼントした、琥珀のペンダントだ。
 彼女が動くたび――ほら今も。くるりと俺へと振り返り、「朱夏?」と首を傾げるその瞬間も、琥珀は彼女のもとできらきら揺らめく。

 愉悦感に浸る理由はただひとつ。
 あれは俺の瞳の色にそっくりなのだ。
 俺の瞳のような石をさげたペンダントが、いつだって弓弦の首もとにある。
 彼女も、それをとても気に入ってくれていて、ふとした時に見つめては、ふわりと微笑んだりする。

 ……あれ。それはちょっと、嫉妬しますね。
 いくらあの琥珀が俺の瞳にそっくりとはいえ、本物の方が良いに決まっています。
 弓弦だって、俺の瞳の方が何百倍も好きに決まっています。
 それなのに生意気じゃありませんか。琥珀ごときが。

「……? 朱夏、どうしたの。なんだか怖い顔しているけれど」
「あ……いいえ」

 こてん、弓弦が首を傾げる。
 不安げな眼差しに、はっと我に返った。
 いけないな。怖がらせてしまいたくない。べつに怒ってはいないんです、ペンダントに嫉妬しただけなんですよ。
 俺がプレゼントしたものだけれど、それにだって負けたくない。弓弦の一番は俺でいたいんですから。

「弓弦、聞いてくれますか」
「? うん」

 愉悦感だったり、嫉妬心だったり。
 目まぐるしい感情のことを、彼女に話そう。
 彼女は呆れるだろうか。笑うのだろうか。
 どのみち俺は、どんな弓弦でも大好きでたまらなくて、やっぱりこんな小さな琥珀石にもやきもきするんでしょうね。

 ひとまず、きょとんとした弓弦を、両腕いっぱいに抱きすくめて。


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