溺愛しゅかゆづ夫婦編 (NL)

 雨ばかり。じめじめするし、髪は跳ねるし。
 六月って、そういう季節だ。ひとを憂鬱にさせるのが上手い。
 けれど僕は、一年の中で、六月が一番好き。
 朱夏と出逢った月だし、彼と結ばれた季節だから。

「大好きですよ、弓弦」
「ん。朱夏」

 ひとを駄目にするクッションは、龍神もダメにするんだなあ、なんてことも考えながら。
 ピンク色の大きなクッションにまったりと沈む朱夏の、その腕の中で、のんびり瞼を閉じた。
 ぽつりとつぶやく。

「……僕も」


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