溺愛しゅかゆづ夫婦編 (NL)

 大好きな朱夏とのデート。
 はしゃいで、足が疲れて、僕たちのお気に入りの喫茶店に入って、いちばん落ち着ける奥の窓際の席が空いていて、

「弓弦。あーん」
「っ、……ん」

 注文したケーキは、僕がチョコレート、朱夏がイチゴのショート。
 てっぺんの大きなイチゴを、フォークをたぐる彼の指が、僕に食べさせてくれる。
 静かな店内で、近くに他の人もいない。だから、ちょっと恥ずかしいけれど、しょうがない。なんて。
 なんにもしょうがなくなんてないのに、そんな言い訳をしながら、ぱくりとイチゴを食べさせてもらった。
 朱夏の、やわらかい微笑み。僕だけに注がれる、溺愛のそれ。
 こくん、喉がなって、……とっても甘い。

「美味しいですか?」
「……うん。美味しいよ」

 貴方のおかげで。なおさらに。
 とは、気恥ずかしくて、言えないけれど。

 甘くて美味しいふたりのケーキ。
 明らかにご機嫌な朱夏の笑う声。弾む会話。彼がいっぱい笑うように、僕もいっぱい笑う。
 ああ、大好きな貴方とのデートは、こんなにも幸せだ。
 今日も。


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